2017.12.15
「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)を読み始めました。「19世紀末ー20世紀初頭、芸術家たちの『生』」という副題がついています。本書で取り上げられているのはムンク、ロダン、キルヒナー、シャイアー、ブライル、ヤウレンスキー、カンディンスキーという多彩な顔ぶれですが、彫刻家ロダンを除けば、北方ヨーロッパで活躍した芸術家ばかりで、ロダンを含めて私の趣向に合った人たちと言えます。本書は、職場に持ってきているミシェル・アンリによる「見えないものを見る カンディンスキー論」に比べれば、平易で読みやすいため、通勤の友にしようと思っています。私が興味を示す芸術家の活動は、日本の美術系出版物の中では馴染みが薄く、あまり取り上げられない芸術家たちばかりです。こうした書籍は一握りの読者にしか支持されないかもしれませんが、欧州ではナチスの弾圧にも関わらず、多くの美術館に本書で語られている芸術家のコレクションが収まっています。著者によるこんな一文がありました。「本書は、芸術家たちが、その時代の多くの芸術家の作品や、あるいは、彼らとの親密な交友関係から、いかに触発され、自己の芸術の養分とし、自己の世界を実現していったかにスポットを当てようと試みたものです。」芸術家同士の触発が本書のテーマになっているようで、楽しみながら読んでいきたいと思っています。