Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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AM陶彫制作PM美術館へ
9月の中旬になっても夏のような暑さが続いていて、もういい加減嫌になっていたのですが、今日も午前中は工房に出かけて、いつものように陶彫制作をやっていました。空調設備のない工房はそこにいるだけで、汗が滲み出てきます。昨日は40kgの土練り、今日は座布団大のタタラを数枚作っていて、結構な力仕事が続いていたため、暫し休息が欲しいと思っていたのでした。先週も木曜日に美術館に鑑賞に出かけたことが頭の片隅にあり、今日の午後は作業を打ち切って、どこかの美術館に行ってみようかと考えました。この暑さから逃れるには美術館が最適なのです。家内も時間があったので、それならば東京の世田谷まで車を走らせました。砧公園にある世田谷美術館には久しぶりに訪れました。家内の大学院時代の友人がここの美術館で働いていたはずですが、もう退職していることでしょう。今日は平日なので、美術館も併設されたレストランも空いていました。ここで企画されていた展覧会は「土方久功と柚木沙弥郎」展で、世田谷美術館の収蔵作品で構成された内容でした。彫刻家土方久功はどこかの美術館で作品を見た記憶があります。戦前にパラオ諸島に出かけて、そこで制作された木彫作品が、「日本のゴーギャン」と呼ばれるのに相応しい表現力があったなぁと思い出しますが、今回はまとまった作品群を見ることが出来ました。私はアフリカの仮面が大好きなので、そこに通底するような土方久功制作による木彫面がいくつも壁に掛けてあって、心がときめきました。プリミティブアートと称されるこうした傾向に私は相変わらず魅力を感じていて、私にとっては刺激的でした。染色家柚木沙弥郎は100歳を超えて現存する作家ですが、いろいろな美術館で作品を見ています。今回の展示作品では、抽象的な染色作品も良かったのですが、素朴な人形を十数体作った「町の人々」という玩具のような群像を面白く感じました。日常雑器の中にちょっとした面白い形や色を見つけていく作家の好奇心が長寿の秘訣なのかなぁと思いました。柚木沙弥郎インタビューのビデオを見ていると心が軽くなるのは私だけではないでしょう。今日は酷暑の季節に涼しさを与えてくれる良質な展覧会を見たという印象が残っています。「土方久功と柚木沙弥郎」展の詳しい感想は後日改めたいと思います。