Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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古木よりイメージを膨らます
来年の個展発表を見据えて、新作を考えています。例年なら現行作品の制作中に、その発展形としての新作が湧いてくるか、降ってくるのですが、今回は実家の大黒柱を中心にした新作を思い描いているので、なかなかイメージがまとまらないというのが現状です。工房の隅にあった何本かの大黒柱の1本を作業場に引きずってきました。じっくり眺めて、用途を失った太い柱をどのように再生しようかが思案のしどころになっています。私の作品には過去にも木材と陶彫作品を併用したものがありますが、それは陶彫の世界をよりよく見せるための演出として、副次的に使用していました。作品の中には木材だけの作品もありますが、そこに陶彫が絡むことは稀でした。新作は古木と陶彫を組み合わせて一体化を図ろうと考えています。古木は釘の穴があちらこちらにあって、ほとんど廃材です。それでも祖父母やそれ以前の祖先が暮らした母屋を支えてきたので、妙な迫力があって、そこに敬意を払いながら、陶彫形態とのコラボレーションを考えていくつもりです。まず、自分がイメージした発掘風景を捉えて、その上で古木と陶彫をそれぞれ組み合わせて説得力のある表現を生み出していかなくてはならないのです。異質な素材は同化はしないけれども、双方を活かす方法がきっとあるはずです。まず、作業場の眼の触れる場所に古木を置いて、常に見て、常に考えていこうと思っています。イメージを膨らませる手段として、まず対象を見つめることから始めます。私は紙上でのエスキースはやりません。印象を刻み込んで、頭の中で幾度もイメージを更新していくのです。手を動かす前に、じっくり眺めて、思索を練ることが第一歩になるかなぁと思っています。