2024.07.28
日曜日になりました。週末は創作活動について書いていこうと思います。先日開催した私の個展で、壁に掛けられたRECORD作品に鑑賞者が注目していたことを思い出しました。彫刻専門のギャラリーで壁に掛けられた平面作品に目がいってしまったのは、色彩が印象的だったことが挙げられます。RECORDはポストカード大の厚手ケント紙に一日1点ずつ制作した、いわゆる文字通りのRECORD(記録)で、アクリルガッシュによる彩色を施しています。それが1年間365点集まれば、月毎に華やかなパネルになることは間違いなく、錆鉄色して色彩的には単調な陶彫作品より人目を引いてしまったわけです。今回の個展ほど色彩の魔術について考えさせられた機会はありませんでした。私は高校生の頃に工業デザイナーを目指して受験勉強をしていましたが、受験科目にあった色彩構成に苦手意識を持っていました。他の学生と比べても色彩感覚がないのではないかと自分に懐疑的になり、悩んだ挙句に彫刻に専攻を替えたわけですが、だからと言って立体感覚もある方ではなかったので、美術分野の中で多少はマシな方へ流れたと言った方が正確だったと言えます。その苦手な色彩に手を出したのは2007年から始めたRECORDからで、その時はデザインの受験用基礎学習から解放されて、好き勝手に色彩を扱ったというのが正直なところです。色彩は楽しいと思えたのは遅ればせながら10数年前からで、あの時諦めた色彩構成を今になってRECORDというカタチにして遂行しているように思えます。現在の私にとって色彩は新鮮です。日本の伝統工芸の中に独特な色彩が使われていて、文様とともに私を魅了しているのです。まさにそれは魔術的と言っても過言ではありません。自分が魅せられている世界を自分の創作に取り入れたいと願うのは自然な流れで、私は立体とともに平面による色彩も今後考えていこうと思っています。