Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 気候による陶土の変化
日曜日になりました。日曜日は創作活動に纏わる話題を取り上げていきます。私の彫刻制作で最も気を遣うのが陶土の乾燥具合と焼成です。陶彫をやっている以上、素材が気温の上下や湿度によって左右されることは百も承知ですが、最近の体温に迫る気温の上昇には、作業する側の体力や気力に影響が出ますが、それだけではなく陶土の変化にも少なからず影響があると実感しています。私の使う素材は複数の陶土を土練機にかけて混合しています。きちんと計測器にかけて混合配分を考えていますが、土練機から出てきた混合陶土を拳4つ分くらいの大きさにして菊練りを施しています。それをビニール袋に包んで一日以上放置するのです。それからビニール袋から陶土を取り出し、掌で叩いて座布団大のタタラを作ります。その時の陶土の柔らかさの具合が気温によって異なります。水分の蒸発が関係していると思いますが、季節によっても違うと感じます。私は陶土を生き物のように比喩していて、常に世話をしている必要があると思っているのです。その素材の特徴が私にとっては重要だったわけで、教職との二束の草鞋生活が出来たのは、この特徴によるところが大きいのです。木材や石材は制作途中でどんなに放置しても、素材に変化は起こりません。そういう素材であるなら多忙極める教職にあって、創作活動は二の次になってしまう恐れがあります。そこへいくと陶土は長く放置することは出来ません。気候によっても陶土は変化してしまいます。仕事がどんなに忙しくても、素材の面倒を見ないわけにはいかないのです。学校帰りに美術室にある陶土を必ず触り、その変化に気づいて、時に水を打ち、場合によっては練り直す必要も生じてきます。教職を退職してからは毎日工房に出かけ、陶土に触れています。陶土との理想的な付き合い方が始まったと言えます。制作工程最後の焼成も手の届かない窯内で、陶土に石化という変化が起こります。これも神経を使う工程で、だからこそ陶彫は面白いと感じているのです。