2024.09.08
日曜日になりました。週末は創作活動について書いていきます。このところ新作について考えを巡らせていて、今日も新しい陶彫作品を作っていました。今年の7月個展まで2年がかりで、日付のある陶彫立方体に取り組んでいて、漸くそこから解放された現在は、さて、これからどういう方向に作品を展開していこうか、毎日そのことばかりが頭を擡げてくるのです。私が現在の陶彫による作品を作ったのは「発掘~鳥瞰~」で、ギャラリーせいほうでの発表は2006年からですが、この作品はそのずっと前に出来上がっていて、おそらく30年近く前には陶彫による作品が幾つか完成していました。最初の頃の個展は、今のような制作体制が自転車操業ではなく、完成品の貯蓄があり、その中から選んで個展での発表にしていました。以来、私の作品は発掘された出土品のような雰囲気を纏い、大地に埋もれていた都市空間を想定していました。実際に私は発掘現場に出かけていってイメージを膨らませたのでしたが、考古学者の叔父のように、そこから可能な限り正確な土木技術や古代の人々の生活ぶりを調査したわけではなく、そこに学術的興味を持ちながら、自分の内面で取捨選択を行なって、象徴性を極めていき、やがて作品化に繋がったのでした。つまり私の作品は、自分の内面で煮詰めていった架空都市に過ぎません。私のイメージの源泉はそこにあるため、新作ではもう一度スタート地点に立ち戻り、架空都市を再び作ってみようと思っています。そう考えると私の気持ちは不思議と安定してきます。ただし、今までのキャリアで既視感のある定番化した作品を作っても、自分としては納得できないので、新たな構造体を作ろうとしています。無理な形態を作っても陶彫の場合は罅割れが生じるので、現在使用している陶土でどこまで可能なのか、イメージと技巧が拮抗している状態が続いています。それは技巧が走りすぎる嫌いを是正する役目もあって、自分としては歓迎しています。まだ新作の窯入れは出来ていません。これからが勝負になるのかなぁと思っています。