2024.11.21
アメリカで栄誉あるエミー賞作品賞を含む最多18冠に輝いた「SHOGUN 将軍」。発表があった日に、私はこの映像作品が見たくなって、ディズニープラスに入会しようと思いましたが、きっとどこかの映画館で取り上げるのではないかと期待していました。上映期間が短いので今日は時間をとって、横浜駅近くの映画館に家内と出かけてきました。海外の映画が日本のことを描くと何か違和感があり、外国人から見た日本の輪郭では、彼らが変な解釈をしていて居心地が悪いものでした。私が40年も前にウィーンに暮らしていた時も、妙な質問に少なからず辟易していた自分がいました。ましてや時代劇、サムライに憧れる外国人観光客が増えている今だからこそ、リアルを見せつけた本作品の価値はあると思っています。まずは主演兼プロデューサーとして牽引した俳優真田広之氏の功績を称えたいし、ハリウッドが本気で時代考証を行ない、しかも本物志向を目ざすと、こんなにも素晴らしい映像美が出来上がるのかと思いました。役者のほとんどが日本人、しかも堂々とした台詞運び、鬼気迫る演技に思わず吸い込まれました。これはアメリカ映画なので、日本語の台詞には英文字幕がつくので、それでも東西の壁を乗り越えてリアルを追求したいスタッフたちの思いに頭が下がります。日本では時代劇は定番化した退屈さで人気が下がる一方でしたが、こうした映像が作られたことで、日本での時代劇人気にも一石投じたのではないでしょうか。真田氏の言葉に「これまで時代劇を継承し支えてくださった全ての方々へ心より御礼申し上げます。」と受賞の挨拶が私の記憶に残っていますが、過日観に行った「侍タイムスリッパー」も時代劇の新しい在り方を狙った作品だったのではないでしょうか。「SHOGUN 将軍」はやはり本格派時代劇なので、海外の資本と手を組んで、こうしたドラマティックな世界がまた生まれてくれることを私は望んでいます。