2024.11.28
今日は朝から家内と埼玉県所沢市にある角川武蔵野ミュージアムに行ってきました。当館を訪れるのは初めてであり、私は未来型の美術館や図書館の在り方を考える機会になりました。まず隈研吾氏が手がけた岩石の塊のような斬新な建築に圧倒されました。館内に入ってみると、4階と5階をぶち抜いた本棚劇場にも興味津々でした。書棚がギャラリーとして鑑賞される発想に、私の自宅も壁一面を書棚にして、それが向かい合っているので、半ばギャラリー化しているのではないかと内心嬉しくなりました。その本棚劇場でプロジェクションマッピングが上映されて、不思議な体験が味わえました。1階には当館最大規模の展示空間があり、現在は「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」という企画展をやっていました。印象派を代表する画家クロード・モネ、その色彩は移ろいゆく景色や時間を捉え、生涯追い求めた水面に漂う睡蓮の大作を、イマーシブコンテンツとして周囲の壁全面に投影し、鑑賞者をまさにイマーシブ(没入)させるデジタル・アート作品として仕上げていました。プロジェクションマッピングの技法が今ではさまざまなところに使われ、そこにオリジナル作品がなくても、映像の力で1点の絵画を見る以上の没入体験が出来ることを示しています。本展もモネの作品の前に有名な印象派画家たちの作品も上映されて、その色彩と光がもつ魅力が十分に引き出されていました。モネが影響された日本の浮世絵も映し出され、やがてモネの揺らめく筆致に繋がり、その色彩が怒涛の如く壁全面を覆い、煌めいて展開していく様子は、まさにモネが旅人のようになって光を追っていく生涯を描き出していました。私も含めて日本人の多くがモネの作品を愛好しています。何故モネが好きなのか、本展を見ているとその謎が解けたような気がしました。私たちは曖昧な世界の中に漂う真実の輝きが好きなのではないかと思ったからです。現代のテクニックがこうした名作を際立たせることに、今日は納得してしまいました。