2024.12.02
先日、ホームページにあるギャラリー・ページに「発掘~双景~」をアップしました。陶彫による2つの塔が立ち上がっていくイメージを具現化したもので、同じ力量の相対するものを存在させることで、まず二極化した思想をどう扱うかが頭にありました。この2つの塔を大地を這う根で繋げることも考えました。2つの塔は分断ではないことを示したかったのですが、それでも同一の養分で育っていったものが上に向かうほど、お互いをそれぞれ主張し、やがて別の思想体系を作ってしまうことを表現したかったのでした。ライバルとしての存在が自らに競争力をつけ、さらに上層のステージに押し上げることが往々にあります。その関係性は時に活力を齎し、時に妬みや嫉妬も生んでしまいます。それでも2つの塔を大きく捉えれば、成長の過程としては幸福な在り方と言えそうで、単独で何かを成し遂げるより、はるかに大きな成果を期待できると考えています。陶彫という素材は、私が長年やってきた「発掘シリーズ」で示している通り、発掘された出土品としての雰囲気を纏い、人為的な古代住居を表していたり、また地下茎から大地を割いて上に伸びる植物的なニュアンスもあり、鑑賞してくださる人の感覚でさまざまな解釈をしていただいています。言うなれば芸術作品に正解はありません。見る人が感じたままで結構なのです。私自身もイメージの源泉はあっても、結果の判断を説明することはありません。どうぞ、ご自由にというのが彫刻作品「発掘~双景~」なのです。ホームページの「発掘~双景~」を見ていただけるなら、まずホームページのギャラリー・ページをクリックしてください。それぞれの作品の部分画像が出てきますので、2つの塔のある作品にカーソルを当てていただければ、画像が一点ずつ現われます。ご覧になっていただけると幸いです。