Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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六本木の「オタケ・インパクト」展
昨日は工房で窯入れを行ない、今日は窯以外の電気が使えない状態だったために、東京の美術館巡りに出かけました。家内が和楽器演奏があり、今日は私一人で行きました。六本木界隈の2つの美術館を見てきましたが、まず、泉屋博古館東京で開催されている「オタケ・インパクトー越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」展に立ち寄りました。私は尾竹三兄弟を美術情報番組で知り、こんなに優れた日本画家の三兄弟がいたことに驚きました。兄弟いずれも巧みな筆致が見られ、文展で三兄弟が揃って入選した年は、新聞や雑誌で報道もされたようです。さらに欧州で流行っていた野獣派のようなラディカルな作品も試み、破天荒な生き方をした三兄弟は、次第に伝統を重んじる美術画壇から外れていったようです。実力があったにも関わらず、美術史から忘れられた存在だった三兄弟を、もう一度本館で取り上げて、現代の視点で再評価をしていこうという狙いもあるのかもしれません。図録にはこんな文章がありました。「地方から上京した三兄弟は、文展を舞台に賞を重ねることによって人気を博したように、展覧会という近代的なシステムの恩恵を最大限に利用した画家だった。しかしながら文展の権威主義が高まるなかで雑誌の論説や出品作を通じた批判、さらには落選作を集めた選外美術展覧会の開催を通じて反文展の姿勢を開示していった。なかでも竹坡による六曲六双屏風の出陳は、出品サイズの臨界点を探るような挑戦的な試みだったし、さらに選外展の開催は審査の是非を問うコンクール制度の根幹を問いただすものだった。そのなかで落選の憂き目に遭ったことは、展覧会というシステムの自己防衛あるいは免疫機能ともいうべきもので、異分子であった尾竹三兄弟は排除すべき対象とされた。」(椎野晃史著)美術史からこぼれ落ちた芸術家には、さまざまな事情を抱えた人がいて、それらを発掘し、脚光を当てるのはとても刺激的な試みではないでしょうか。私もこうした試みに賛同しつつ、テレビ番組の影響かもしれませんが、平日にも関わらず、今日は多くの鑑賞者が美術館を訪れていました。