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「象徴主義」について
「世紀末芸術」(高階秀爾著 筑摩書房)の第四章「世紀末芸術の美学」の初めに「象徴主義」の単元があり、これについて気に留めた箇所をピックアップしていきます。最初にオーリエが記した象徴主義の定義から始めます。「《芸術作品の必要条件は、(1)理念的であること、なぜならば絵画の唯一の理想は、理念の表現であるから、(2)象徴的であること、なぜならば絵画は、その理念を形態において表現するから、(3)綜合的であること、なぜならば絵画は、これらの形態、記号を一般的理解の方法にしたがって表わすから、(4)主観的であること、なぜならば絵画においては、客観的事物は決して客観的事物として考えられず、主観によって知覚された観念の記号として考えられるから、(5)(したがってその結果)装飾的であること、なぜならばエジプト人、そしておそらくはギリシャ人、およびプリミティフ芸術家たちの考えていたようないわゆるほんとうの意味での装飾絵画は、同時に主観的、綜合的、象徴的、理念的である芸術の表明にほかならないからである。》」象徴主義という言葉を私はよく使いますが、その定義を述べた箇所をここで敢えて載せることにしました。その代表格が画家ルドンです。「モーリス・ドニは、さらに明確な言葉で、彼らの世代に対するルドンの影響力とその意味とを説いている。《ルドンは私の青年時代の師であり、友人の一人であった。深い教養と音楽に対する才能に恵まれ、親しみ易く親切な性格の彼は、象徴派の世代の理想像ーいわばわれわれのマラルメであった。セザンヌの影響がゴーガンとベルナールを媒介としてはっきりあらわれてくる以前に、1890年前後の芸術の発展を精神的な方向に定めたのは、ルドンの石版画のシリーズと驚くべき木炭デッサンの影響力であった。彼は、その時以後われわれがその証人として立ち会ったすべての美的改新、または革新、あらゆる趣味の革命の起源となった…。ルドンの教えは、彼が何か魂の状態を表明しないようなもの、深い感動と心の奥底の幻想とを伝えないようなものは何ひとつ描くことができなかったというまさにその点にある…。》」今回はここまでにします。