2025.01.08
今日から「密教」(正木晃著 筑摩書房)を読み始めました。このところ美術関連の書籍が続いていたので、読書の方向を変えました。ただし、私は宗教そのものには興味関心が薄く、どの宗教であれ、きちんと学んだことがありません。学問として宗教は世界最古のものではあるのですが、私は特定宗教を選ぶことを躊躇していて、だからといって先祖代々にわたって私に考えもなく受け入れてきた仏教浄土宗について、あまり積極的になれないのが正直なところです。信仰する心は持ち合わせているものの、その経典を学ぶことには結びつきません。今回手に取った書籍「密教」は、先祖が拝んできたものとは別の興味が湧いたのが要因です。それは京都やその他の寺院で目にした曼荼羅の視覚的な面白さに惹かれたからです。それに比べて禅寺は簡素で、曼荼羅はおろか菩薩の像もなく、造形美術的な興味で言えば、密教寺院の方は大変面白いと言えます。ちょうどキリスト教のカトリックとプロテスタントに似ています。カトリック教会の壮麗な内部装飾には驚かされ、そうした中で私は宗教美術的な興味を育ててきたとも考えています。さて、それでは本書冒頭にある密教の定義に入っていきます。「密教とは、インド大乗仏教の最終段階において展開された神秘主義的・象徴主義的・儀礼主義的な傾向の強い仏教である。また、密教には、性行為を導入したヨーガ、すなわち性的ヨーガ(性瑜伽)ならびに血・骨・皮の儀礼を必須要素とするタイプと、そうでないタイプがあり、前者をタントリズムと呼ぶ。ちなみに現在では、日本とチベット、およびネパールとブータンに命脈を保つ。このうち、真言宗と天台宗の一部から成る日本密教は、原則として性的な要素を含まない。」というのが日本密教の定義で、それを踏まえて、今後密教の内容に入っていきます。今まで読んでいた美術の書籍と違い、ひとつひとつの語彙に私自身が戸惑うこともあろうかと思います。進行もゆっくりになると思いますが、私なりに解釈をして読み進んでいこうと思います。