2025.01.26
日曜日になり、創作活動について書いていきます。今日も朝から夕方まで工房に籠って、古木材の彫り込み加工をやっていました。これは陶彫作品と組み合わせるための作業で、基礎造形と称したらいいのか、陶彫作品をよりよく見せるために行っているものです。絵画で言う支持体または基底材のようであり、そこに芸術的な作為はありませんが、素材を生かす彫刻にとっては大変重要な制作工程です。基礎造形はイメージを具現化するために素材を大まかに整えることです。新作の基礎造形は、まず木材を凹形に彫り込んでいく作業です。これには木彫としての表現はありません。ただいくつかの凹形を木材に刻むことだけなので、それだけでは当然作品にはなりません。ただし、新作で狙っているのは、この古木材そのものの存在感にあります。旧家の大黒柱として幾星霜にも耐えてきた古木材の迫力ある空気感は、下手な作為を拒絶してくれるだけの雰囲気が漂っています。この大黒柱を中心に据えて、両側に陶彫作品を置き、陶彫作品同士を陶の橋で繋ぐというのが当初のイメージなのです。両側を固める陶彫作品は既に出来上がっています。陶彫作品同士を繋ぐ橋の長さをどうするのか、これは古木材にどのくらいの彫り込みを入れるかで決定するので、今はそのための基礎造形を行なっているというわけです。4本ある古木材のうち3本まで彫り込みが終わりました。基礎造形とは言え、久しぶりに幅広の鑿を振るっているのは、なかなか疲れるもので、ちょいちょい休憩を取ってしまうのは加齢のせいでしょうか。作業にカーヴィングの面白さはありませんが、それでも彫り進んでいくと、彫刻的な興味関心が湧いてくるのは不思議なものです。毎日木屑を掃き集め、ごみ袋に入れていると、木彫だけで作品化していた昔を思い出します。