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「マンダラとは何か」について
「密教」(正木晃著 筑摩書房)の「第三章 マンダラの理論と実践」の中の単元「マンダラとは何か」について気になった箇所をピックアップします。「マンダラ(曼荼羅・曼陀羅)は、瞑想(観想)のために発明された、いわば霊的な道具もしくは装置である。マンダラの基本形は4~5世紀にインドで開発され、その後、急速に発展して複雑きわまりない形態に発展したらしい。今日、日本に残るタイプは6~7世紀に、チベットに残るタイプは8~10世紀に、それぞれインドで成立したものの末裔と考えられている。~略~マンダラが表現しようとしているのは、この世の森羅万象がことごとくホトケのあらわれであり、意味のないものはなにひとつないという真理である。~略~つまり、マンダラとは、宇宙の中心軸たる須弥山のはるか上空に浮揚する球体の内部を、透明なバリアー越しに、上から見下ろした、もしくは下から仰ぎ見た結果、できた平面図なのである。~略~総合するなら、マンダラとは、完璧な規律と秩序に貫かれ、しかも閉じられたホトケたちの聖なる世界を、円輪と正方形を基盤に、対称形の多用をもって図画した平面図なのだ。そこに混沌や無秩序が介在する余地はまったくない。視覚上からいうなら、マンダラは上下左右を反転しても、構図としては変化しない。」ここで空海の解釈になります。「空海はマンダラを、表現の形式から、『大曼荼羅』・『三昧耶曼荼羅』・『法曼荼羅』・『羯摩曼荼羅』の四つの種類に分けている。大曼荼羅は、宇宙(もしくは世界)に展開されている普遍的な形相を、さまざまなホトケの図像をもちいて表現したマンダラである。~略~三昧耶曼荼羅は、宇宙に展開されている特殊な形相を『三昧耶』、つまりさまざまなホトケを象徴する持物(アトリビュート)、たとえば蓮華とか法輪とか武具などによって表現したマンダラである。法曼荼羅は『法』、つまり宇宙の真理を、言語をもちいて表現したマンダラである。~略~羯摩曼荼羅の場合は、活動をリアルにわかりやすく表現するためか、ホトケたちの立体的な彫像をもちいてマンダラを構成するところに特徴がある。京都の東寺の講堂にならぶ彫像群が、まさにこの羯摩曼荼羅の典型になる。」今回はここまでにします。