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「胎蔵マンダラ」について
「密教」(正木晃著 筑摩書房)の「第三章 マンダラの理論と実践」の中の単元「胎蔵マンダラ」について気になった箇所をピックアップします。「この経典(大日経)は、真理そのもののあらわれにほかならない法身=大日如来が、弟子にあたる執金剛秘密主(金剛薩埵)の質問に答えて、真理を説いたというかたちをとる。その質疑応答の中心は、『一切智智』すなわち『ありとあらゆる智恵を体得する絶対的な智恵』を獲得する方法、およびその理論的な根拠におかれている。~略~もし、『大日経』の思想を端的に提示するとすれば、それはやはり『住心品』に書かれた『三句の法門』に尽きるとされている。『菩提心を因とし、大悲を根とし、方便を究竟となす。』すなわち、悟りを求める心を行動の原因とし、大いなる慈悲を動機とし、実践に最高の価値をおく、というのである。」次に胎蔵マンダラについての文章です。「胎蔵マンダラは、この世の実相を、つまりこの世のほんとうの姿を、如実に、つまりありのままに描き出す。もちろん、実相を如実にとはいっても、その視点は私たち凡人の視点ではない。大日如来の視点から見て、実相を如実に、この世のほんとうの姿をありのままに把握した様相を描き出している。~略~胎蔵マンダラのホトケたちはみな、蓮華の上に描かれている。その理由は、蓮華が女性を象徴するからという説明がある。もちろん、蓮華→女性器→子宮→胎蔵という連想だ。~略~このマンダラは大日如来の慈悲が、全宇宙のいたるところに、さまざまなかたちで働いているという真理を明らかにしている。それは、胎蔵マンダラの構造に対応する。マンダラの中心の大日如来は自性法身が、中台八葉院の四仏は受用身が、初重の残りと二重と三重は変化身が、四重は等流身が、それぞれ活動する領域をあらわしているからだ。」その後に細かい説明がつきますが、誌面の都合で割愛させていただきます。今回はここまでにします。