Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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映画「名もなき者」雑感
このところ美術館に美術鑑賞に出かけたり、今日は映画鑑賞に出かけて充実した日々を送っています。今日、私は工房で夕方まで陶彫制作をしていました。午後4時に家内と一緒に横浜市鴨居にあるエンターテイメント系の映画館に出かけ、ボブ・ディランの若き日を扱った映画「名もなき者」を観てきました。私の高校時代は和製フォークソング全盛期で、その原点がボブ・ディランにあり、私もアルバムを持っています。おそらく私より上の世代はかなりディランびいきの人たちがいるのではないかと思います。今日映画館に来ていた人たちは70代の人たちも多くいました。図録から引用します。「(名もなき者は)ディランの一生を描く作品ではない。1961年から1965年までの5年間だけに限っている。クライマックスは一つのジャンルにとどまることを嫌うボブが、1965年ニューポートの神聖なステージでロックバンドをバックに歌い、賛否が渦巻くなか、純粋フォークの世界に別れを告げ、過去を振り向くことなく新たな世界の第一歩を記すシーンだ。~略~ボブ・ディランは過去の伝説的アーティストではない。83歳となる現在も、トップアーティストとして活躍し続けている。」(菅野ヘッケル著)ディランを演じたティモシー・シャラメのインタビューにも注目しました。「正直なところ、何度も何度も何度もやり直し、1万時間を費やす時間を持つという作業なだけなんです。3か月や4か月の期間ではとても無理だけど、5年半の期間であれば、数か月集中して取り込むこともできるし、またそれを中断することもできる。」そんなことを言っていました。これは俳優たちが事前録音ではなくライヴで歌っていて、そこにも魅了されました。ディランの歌詞は社会性と結びついていて、映画の中でもキューバ危機やケネディ大統領暗殺もあり、そうした社会の混乱が歌詞に反映されたり、時に風刺が効いた言葉になっていました。私は自らの主張を言葉(歌詞)に乗せて訴えるシンガーが大好きです。それは洋の東西を問いません。ボブ・ディランやピート・シーガーに影響されて、日本にも自らの言葉で語るシンガーがいると思っています。ディランが2016年シンガーの中で唯一ノーベル文学賞に輝いた理由が分かった気がしました。