2025.03.20
今日は春分の日で休日になります。教職に就いていた頃は、創作活動との二束の草鞋生活だったので、休日は有難いと思っていましたが、現在は平日も休日もなく創作活動をやっているので、あの頃の有難味はなくなりました。春分の日は古くは1878年(明治11年)春季皇霊祭から続くもので、これは歴代の天皇・皇后・皇親の霊を祭る儀式のことです。1948年(昭和23年)に交布、施行された祝日法で春分の日が定められました。この日はお彼岸の中日にあたり、先祖を供養したり、墓参りをする日として、私たちには馴染みがあります。墓参りに関して、私はあまり積極的ではないのですが、少なくても春や秋には先祖の供養に行きたいと思っています。昨日までの雨まじりの空が晴れて気温も上がり、今日あたりは絶好の墓参り日和になったのですが、休日の混雑を避けて、明日にしようと家内と相談しました。そこで、今日の工房での作業は、窯入れをすることにしました。明日は墓参りがあるので、工房が使えなくてもいいし、乾燥した4点の作品に仕上げを施して化粧掛けをしました。仕上げはヤスリで指跡を消し、そこに錆鉄の化粧土をかけて窯に入れます。焼成が終わった陶土が錆びた鉄のような雰囲気になるのは、こうした工程によるものです。私は陶彫作品でデビュー以来、同じ陶土を使い、同じ工程で作品作りをしています。陶芸家のほとんどの人は、陶土や化粧土、釉薬に至るまで様々な実験を繰り返し、表現の幅を広げていますが、私は焼成に関してはずっと同じ方法をとっています。それでは焼成に面白みがないのは承知しています。ただし、私の場合は陶彫であって陶芸ではありません。焼成が終わった陶彫作品を複数、その場に配置して、空間の変容ぶりを見せていくのが私の世界です。1点ずつの陶彫作品における景色を求めていないので釉薬も使いません。私にとって陶土はあくまでも素材なのです。そんなことを考えながら、夕方窯に作品を入れました。