2025.03.23
日曜日は創作活動についてNOTE(ブログ)に書いていますが、今日は先日の朝日新聞「天声人語」に掲載された記事を取り上げます。記事では芸術家ミロについて書かれていました。内容を省略できないので全文引用いたします。「ジュアン・ミロ(1893~1983)は、20世紀を代表するスペインの画家である。カタルーニャ州バルセロナ出身で、1930年代のスペイン内戦からフランコ独裁政権が終わるまで、反ファシズムの姿勢を貫いた。作品で頭に浮かぶのは、鮮やかな色彩と記号のようなモチーフだった。だった、と過去形にしたのは、ミロが積み重ねた軌跡を知ったからだ。東京都美術館で開催中のミロ展を見て、年齢と共に大きく変化していった画風に驚いた。周囲の鑑賞者からも『これもミロなのか』と声が漏れたほどだ。10代で描いた風景画は、印象派の影響がうかがえる。20代からは植物の小さな葉にまでこだわる細密描写に。さらにシュルレアリスムへ移り、独自の記号体系を確立した。50代で本格的に陶器や彫刻に取り組み、亡くなる直前まで続いた。挑戦や探究のたまものだが、それを抵抗と逆境の中で続けたのに驚く。スペインでは独裁政権が75年まで続き、抵抗の拠点となったカタルーニャは当局の厳しい弾圧を受けた。ミロも故郷を離れ、隠れるように創作した。82歳の時のインタビューでは、独裁政権への反抗で『自由で激しいもの』を作品で伝えたことが最も重要だったと語った。その激しさは、ピカソのような『技巧』がなかったから生まれたものだとも(『ミロとの対話』)。90年の生涯でミロが残した多様な作品に、人間とはいつまでも進歩できるものなのだと前向きな気分になった。挑戦を続ければの話ではあるが。」ミロの作品は折に触れて私も見ていましたが、今回の東京都美術館で時系列を追った作品群を見て、当時の社会的情勢に屈しないミロの創作姿勢に感銘を受けました。現在も世界は平和とは言えない状況にあり、いつ戦乱の火の粉が私たちの国にまでやってくるか分からないし、フェイクニュースもある中で、常に疑いを持って情報を注視しなけらばならない世界に私たちは晒されています。そんなことを一人の芸術家の生涯を通して思索する機会は貴重だろうと改めて私は思っています。