Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

「近代絵画史」を読み始める
先日まで読んでいた「名画を見る眼」(高階秀爾著 岩波新書)に続いて同じ著者による「近代絵画史(上)」(高階秀爾著 中公新書)を読み始めました。「名画を見る眼」は読んでいるうちに、これは一度読んだことがあるなぁとうっすらした記憶を呼び起こしていましたが、「近代絵画史(上)」は初めて読む書籍であろうと思っています。本書の分類が初めて見るもので、新鮮な感覚を持ちますが、あるいは同じ著者なので、場面として論理が被ることもあるかもしれません。それでも新たな分類(単元)のなかで、画家の位置付けがどのようになされているのか興味津々です。現在の私は、西洋美術のみならず、日本美術の偉大な表現力も理解していますが、若い頃に傾倒した西洋美術をもう一度捉え直すことで、自分自身を振り返ってみることができます。その西洋美術に対する思いが強いがために私は、20代後半にヨーロッパの美術学校に通った経歴も持っています。彼の地で身に染みた生活風習の違いや学生たちの考え方を思い出しながら、「近代絵画史」をじっくり読んでいこうと思います。「序言」にピカソに纏わる文章がありました。「《ゲルニカ》は《ゲルニカ》であって、余計な説明などなくても、あの画面がすべてを語っているではないか、という立場である。私自身の体験は、ちょうど逆のことを私に教えてくれた。《ゲルニカ》が描かれた時の歴史的背景と、『青の時代』からキュビスムの実験を経て30年以上にわたって続けられてきたピカソの造形的な探求を重ね合わせてみた時、そしてさらに、ゴヤやロマン派の芸術家たちの先例と対置してみた時、《ゲルニカ》はいっそう偉大な、いっそう悲劇的な美しさを持ったものとして、私に語りかけてきたのである。」《ゲルニカ》が描かれた特殊な事情は、あらゆる芸術作品にも通じるものがあり、そうした混沌を歴史と共に解き明かしてくれそうなのが本書ではないかと私は思っています。それが現在を生きる私たちにも伝承していくものだろうと考えています。また本書もじっくり考えながら、とつおいつ読んでいく所存です。