2025.05.06
今日の朝日新聞は、誌面を大きく割いて仏像についての記載がありました。私は若い頃から運慶が好きなので、折に触れて仏像を見に行っていますが、新聞の解説を読むと、教職に就いていた頃が思い出されました。私は美術科の鑑賞の授業で仏像の4種類について生徒に話していました。とりわけ京都や奈良に修学旅行に行く前に、その授業を取り入れていた記憶があります。「仏像は、そのルーツや役割で4種類に分けられる。なかでも最初に挙げるべき仏像が、悟りを開いた聖者を表す『如来像』だ。仏教の開祖であるブッダを表した『釈迦如来』、人々を極楽浄土へ導く『阿弥陀如来』、病気で苦しむ人々を救う『薬師如来』など、シンプルな袈裟のみを身に着けた仏像がそれだ。」造形様式も時代によって異なるので自分好みの仏像を探すのも楽しみのひとつです。「悟りを開いた聖者が『如来像』なら、『菩薩像』は悟りを目指して修業中の身。人々の幸せや救済を願う姿を表す仏像だ。代表的なのは『観音菩薩』。~略~菩薩は、如来になる前に弥勒の姿を表す『弥勒菩薩』や仏の知恵をつかさどる『文殊菩薩』なども含め、天衣や装飾品を身に着けた出家前のブッダの姿をしているが、地蔵菩薩だけは違う。あらゆる場所で命あるものすべてを救済する菩薩として、剃髪に法衣を着た僧形で表されている。」菩薩像は多種多様で、造形美術として見れば大変面白いと感じます。「4種類ある仏像の3番目、4番目は、あえて怒りをもって、力ずくでも人々を仏教の世界に導く『明王像』と、如来や菩薩のもとで世界の平安を守るために、護法神となったインドの神々を起源とする『天部像』だ。」私が彫刻を学び始めた頃、最初に興味を持ったのが「明王像」と「天部像」でした。分かり易い感情表現に親しみがあり、忿怒の形相に鬼気迫る迫力があって、「明王像」は若かった私を惹きつけたのでした。「明王像」とは逆で、軽やかで清々しい雰囲気を与えてくれたのは、奈良秋篠寺にある「伎芸天」でした。これは「天部像」で、今でもこの仏像は大好きです。