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「新印象派」について
「近代絵画史(上)」(高階秀爾著 中公新書)の「第9章 新印象派」について気になったところをピックアップしていきます。本章は2人の画家に注目しています。まず、ピサロ。「ピサロは、印象派グループのなかでは最も年長であったが、しかしそれにもかかわらず、きわめて若々しい、開かれた精神の持主であった。事実、1874年、最初の印象派展の時すでに44歳であったことを考えると、ピサロがその後ゴーギャン、ゴッホ、スーラのような自分よりずっと若い画家たちの革新的な試みにつねに暖かい理解を示し、積極的な支持を惜しまなかったことは、ほとんど驚嘆に値する。~略~ピサロは、スーラほど徹底した理論家となるためにはあまりに感覚的であったが、また他方、モネのように徹底して感覚に身を委ねるには、またあまりにも理知的だったのである。」ここで数年続いた印象派展の傾向について概観を記しておきます。「1886年の第八回印象派展は形式的には12年前に始まった印象派グループの展覧会の続きであったが、実質的には、その内容は、印象派グループの解体、およびそれにもとづく新しい傾向の登場をはっきりと示していた。その新しい傾向のうち、とくに注目されるのは、ゴーギャン、ルドンに代表される象徴主義的傾向と、スーラ、シニャック、ピサロの作品に見られた新印象主義の流れである。」2人目の画家であるスーラについての記述がありました。「きわめて理知的な性格の持主であったスーラは、色彩のみならず、黄金比例のような構図の調和の問題や、さらには、線や色調の象徴的な意味の問題など、新しい造形表現の美学とも言うべきものを考え、友人への手紙のなかなどに、その理論の一端を書き記しているが、しかし31歳を越えたばかりの時に世を去ってしまったため、自己の思想を完全なかたちで体系化することはできなかった。」今回はここまでにします。