2025.05.28
美術館に行く日は、通常なら工房で窯入れを行ない、窯以外のブレーカーを落としているために作業が出来ない日を選んでいました。今日は来年に向けての新作を開始していて、まだ陶彫第一号が出来ていません。窯入れもないのに、今日は工房の作業を休んで、東京の美術館を2ヶ所回ってきました。私は今年7月に発表する作品が全て出来上がったところで休息を取らず、間髪を入れずに次作の制作に入りましたが、気分転換を兼ねて今日は展覧会に作品鑑賞に出かけたのでした。最初は東京六本木にあるサントリー美術館で開催している「酒吞童子ビギンズ」展に立ち寄りました。酒吞童子とは鬼のことです。平安時代に都で美しい娘たちを次々に誘拐していた酒吞童子が源頼光とその家来たちによって退治される物語は、現代のアニメにも通じていて、その展覧会の広報を見た時には「鬼滅の刃」の原型ではないかと、私は勝手に思い描いていました。展示されていた絵巻物は修復が終わったらしく、絵が鮮明になり、それだけに物語に惹き込まれる要素が充分あり、私は時間をかけて楽しんでいました。詳しい感想は後日に回します。次に向かったのは新宿で、巨大な駅のターミナルに困惑しながら、行きつ戻りつしながらSOMPO美術館に辿り着きました。ここで開催されている「藤田嗣治 7つの情熱」展で、私は久しぶりに藤田ワールドに触れました。藤田嗣治の独特な人物描写と、淡い色彩、それに私が好きなところはモデルの吊り上がった眼とキリリと引き締まった唇の表情が何とも魅惑的なのです。本展は小品が多かったのですが、子供のシリーズが充実していて、私は堪能できました。これも詳しい感想は後日に回します。東京の展覧会を巡ったのは久しぶりな気がします。今月は個展の図録用写真撮影があったために、とにかく作品を完成させなければならず、撮影が終わるまでは美術館に行く暇がなかったのでした。今日は本当に気晴らしになって、また明日から陶彫制作に励むことができるなぁと思っています。