2025.06.02
毎回、個展を開催する時には、私は必ず図録を用意しています。幾度となくNOTE(ブログ)に書いていますが、私の彫刻は陶彫部品を組み合わせてひとつの作品にする集合彫刻で、展示する度にスタッフ数人がかりで作品を組み立てるのです。展示が終われば、作品を解体して、それぞれの陶彫部品は木箱に収めてしまいます。その作品は個展以外に容易に見せることができず、作品全容を見せるためには画像として記録しておく必要があります。そういう意味で図録は必要不可欠です。アナログをデジタルにする際は、撮影の視点等が関係するので、自分では撮影をせず、費用が発生してもカメラマンにお願いしているのです。他者の視点を入れることで作品の世界が広がることを期待しているからです。実際に私が見慣れている作品が、やや角度が変わって画像に収められ、私には新鮮に映ります。今回は20回目の個展なので、図録も20冊目になります。私は最初の1冊目から同じサイズ、同じページ数にしてシリーズ化した図録を作っています。レイアウトもほぼ同じですが、毎回作品が異なるので、図録の雰囲気は毎回新鮮なものに仕上がります。場所は工房の野外と室内を使っていて、それぞれに陰影の効果が違います。立体作品は置かれる場所によって違う様相になり、それが面白味でもあるのです。まさに空間演出の装置というか、周囲の空気を巻き込んで、物質以外のところにも充分存在感を示しています。今晩は2人のカメラマンが自宅にやって来て、家内と私を加えて4人で図録に掲載する作品写真を選び、そのレイアウトを考えました。今回は平面作品もあり、久しぶりに作った小品「陶紋」シリーズもあって、バリエーションに富む構成になりました。今回の目玉になった「発掘~跨橋~」は実家の大黒柱を再利用しているので、デジタルではその素材感を強調し、木目を美しく目立たせた画像を個展の案内状に使うことにしました。実は「発掘~跨橋~」の影の主役は大黒柱です。年輪が語る凝縮した時間が何とも素敵なので、私はこれを生かす方法を考えながら作品を作っていました。アナログな彫刻作品だけではなく、図録も作品の一つと私は考えています。