Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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久しぶりに日本民家園を散策
工房に出入りしているスタッフ2人と最近工房を訪れた台湾人女流アーティストを連れて、今日は川崎市立日本民家園を散策してきました。2人のスタッフは女子美大卒業生と在学中の学生ですが、学生が染織の授業が午前中にあると言うので、卒業生と台湾人アーティストに相模原の女子美術大学まで同行してもらい、同大の学生食堂で学生と落ち合いました。日本民家園は学生が染織専攻の課題資料にするためと、台湾人アーティストのスケッチ題材のために、相模原から川崎市多摩区まで車を飛ばして行ったのでした。私にとっては久しぶりの日本民家園の散策になりました。よく全国からこんなに古民家を集めたものだなぁと改めて思いましたが、昔の記憶を頼りにしても、こんなに広かったっけと感じてしまいました。私の脚力が弱くなったのか、3人の女性に背中を押されながら、全ての古民家をやっとの思いで回りました。私が今年の個展で発表する「発掘~跨橋~」に使っている実家の古木材を彷彿とさせていたのは、古民家の縦横を支える曲がった古木の数々で、土壁と相まって私の感覚を刺激するものでした。私が高校時代に目指した建築家としては、こうした古民家を現代に生かすにはどうすればいいのかを考える仕事をしたかったのでした。保存と修復というより、現代生活の中で木材と土壁を美的価値として用いる家屋を建てることが私の理想でしたが、高校時代に建築家になることは諦めて方向転換をしてしまった私は、今更ながら彫刻という媒体を使って、その美的価値をアートとして問うことにしているのです。生活感のない彫刻では、素材の面白さだけで、その他の制約は一切ないので自由気儘な感じは拭えません。それでもそうした素材を場に配置するだけで、何か新しい空間認識が生まれるのではないかと期待しています。美術館の鑑賞もいいと思いますが、古民家の散策も楽しいと私は思いながら、充実した一日を過ごしました。