Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 偉大な巨匠を再認識
週末になりました。定番として土曜日は今週の振り返りを行ないます。今週も猛暑が続き、工房での陶彫制作が厳しいと思いつつ、何とか毎日やっている状況です。日々の温度が高いため陶土の乾燥が早く、それにも対応せざるを得ないのです。今週は木曜日から自宅の2階出窓の修繕工事が再開しました。先週は部材が足りなくて、工事が中断したままになっていたのです。工事がある日は自宅に職人さんたちが入るため、家内か私のどちらかが自宅にいる必要があり、家内と融通をつけ合っています。私にとって今週の大きなニュースは現在読んでいる書籍のインパクトによるもので、毎晩偉大な巨匠を再認識しています。ヴァザーリ著「芸術家列伝3」ではレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロが登場し、とりわけミケランジェロは彫刻をやっている私には心に沁みる印象があります。私は20代の頃イタリア各地を回り、ミケランジェロの代表的な石彫をじっくり鑑賞してきました。「ピエタ」を見た時は横たわるキリストの肢体の表現が、まさに神がかっていて、人が作ったものとは思えない造形に畏怖を抱きました。「モーセ」も同じ感想を持ちましたが、本書によって驚きを隠せなかったのは「ダビデ」です。他の彫刻家が削って途中で放棄した石材を譲り受けて、あの「ダビデ」を彫り出したミケランジェロという人物は、一体どんな才能を持ち合わせていたのか、その実力に眼を疑うばかりです。彫刻だけではなく、システィーナ礼拝堂のフレスコ画に取り組み始めた様子が本書にありますが、フレスコを今まで扱ったことがないにも関わらず、その研鑽に独力で挑むミケランジェロには、創作意欲の激しさ、大きさに圧倒されます。彼には自分の実力に匹敵する者でなければ協働できない生癖があり、それが気難しく、人を寄せ付けない孤高の精神を表しているのではないかと察しました。偉大な天才に見られる偏屈さではあるけれど、我執の強さでは誰にも負けないものを持っていたのでしょう。もしもミケランジェロが近くにいたなら、その磁場の強さがいかほどのものか体感したいと私が思ったのも不思議ではないと思いました。