2025.10.12
日曜日になりました。日曜日は創作活動についてNOTE(ブログ)を書いています。今回取り上げる内容は雛型と小品についてです。先週から新作の陶彫小品を作り始めていて、自分としては集中しながら、制作はいい具合に進んでいるなぁと思っています。小品はギャラリーで展示する際に彫刻用の台に乗せるものという意識で作っています。私は個展に数点の小品を出していて、「球体都市」や「陶紋」という題名をつけて、シリーズにして通し番号を振っています。通常は大きな陶彫部品を組み合わせた集合彫刻を、床置きにして出品していますが、同時に小品も欠かさず展示しているのです。小品と言えども片手間で作れるはずもなく、通常の作品と同じくらい気持ちを込めていきます。雛型は通常の作品をそのまま小さくして作るもので、実験的な意味合いが強くなります。私は過去にあまり雛型を作っていませんが、新しい試みをする時に、その構成が力学的に大丈夫か、また形態の角度を求めたり、作品が立体として成り立たせるために雛型を作ってみるのです。それは小品のように隅々まで作品化を図るものではなく、陶土ではなく紙で作る場合もあり得ます。しかしながら、雛型と小品の区別がつかない作品も存在します。当初は雛型として作っていたものが、小品としての面白さが出てきて、敢えて陶土によって作り直したものもあります。雛型は自分の納得を得るためのメモ程度に考えていたものが、これを人に見せてもいいのではないかと思い直し、小品として作り上げてしまう例です。また、こんな一例もありました。名のある抽象彫刻家の回顧展で、雛型ばかりを集めた一角があって、きっとそれは作家が発表するつもりはなかったものを、展覧会の一部に展示したものでした。私はそれに大変興味関心を持ちました。作家の内面を覗き込んだような気になって、抽象彫刻を作る過程の思考回路が分かる展示だったからです。雛型と小品は、作家によってそれぞれ異なった見解があると思います。制作の背景を探ってみるのも展覧会鑑賞の醍醐味かもしれません。