2025.11.04
「宗教図像学入門」(中村圭志著 中公新書)を今日から読み始めました。自宅の書棚を探していて本書を見つけましたが、いつ頃購入したものか忘れています。私は特定宗教を信仰しているわけではなく、私の家は先祖代々、自宅の近隣にある浄土宗の寺に墓地がある関係で、仏教浄土宗の行事に最低限の関わりを持っています。それも昔からその寺に墓地があったわけではなく、その昔近くの丘の上に小さく区画された先祖の墓があり、その土地を処分するために墓地に眠る先祖の魂抜きを行ない、菩提寺に墓地を移したのでした。私の周囲には、哲学者で既に他界した叔父が、無教会主義を唱える内村鑑三に私淑したキリスト教信者であったり、彫刻の師匠がカソリック系のキリスト教信者で、聖書を題材にした作品を多く作っていて、親類も含め宗教の多様化があります。私自身も20代の頃にヨーロッパにいて、教会建築や装飾に圧倒されていました。私の先祖が関わる仏教より、留学を含めた私の修学時期に出会ったキリスト教の方が身近になっている現状もあります。宗教は人類史上最も古い学問として登場してきました。古代人は狩猟にも他力本願をしたのでしょう。そこに図像が生まれたのは私にも理解できます。本書の「はじめに」として書かれていることから引用いたします。「宗教はドグマや戒律や教典ばかりで成り立っているのではなく、美術のような感性的なものが果たす役割も大きいということを『イメージトリップ』を通じて実感していただくというのが本書の目標である。~略~狭い意味での図像を超えて、寺院や教会、聖地や巡礼地などの空間的な構造にも目配りした。というのは、神話や儀礼からなる宗教の世界観は、霊的象徴を通じて自然空間に広がり、儀礼を通じて身体、祭壇、神殿、環境、世界全体のそれぞれを対応させるからである。西洋でも東洋でも形而上的奥義として小宇宙(人間の身体)と大宇宙(環境世界の全体)の照応関係が説かれる。そういう世界観の一端が垣間見えるように努めた。」今回はここまでにします。