先日、家内と映画「誓い 建築家B・V・ドーシ」を観に行きました。ドーシはル・コルビュジエの事務所に在籍し、インドでのプロジェクトに携わった建築家です。図録にこんな紹介記事がありました。「2018年にインド人初のプリツカー賞に輝き、2023年に95歳で死去した世界的建築家バルクリシュナ・ドーシが、師匠であるル・コルビュジエやルイス・カーンと協働した建築物や自身が手掛けた建築物を訪れ、建築哲学や制作過程、そして70年におよぶキャリアについて語る姿を追う。モダニズムとインドの伝統、風土、精神性を融合した独自のスタイルを確立し、社会や環境に貢献する建築や、生活に根差した”人々のための建築”を志向した彼の最晩年の内面に迫る。」映画全般にわたって机に向かいながらアイデアを描き込んでいくドーシの姿や、建築専攻の大学生たちとの触れ合い、森に覆われてしまった自身の建築物などを通して、親しみのある彼の人柄が随所に現れていました。建築を通して何をすべきかを常に語り、その台詞の中に私にも刺さる言葉が結構ありました。「彼は自著の中で、『自分はル・コルビュジエのような曲芸師にはなれないし、カーンのような厳格さを貫くことも難しい』と書いています。だからこそ、二人に深い敬意を払いながら、自らの内面を見つめ、内なる世界を探求し続けました。その静かな内省の姿勢は、瞑想などのインド文化に深く根ざしたものだったのでしょう。~略~また、『どうすれば良い建築ができるか』という問いには、『24時間いつでも考え続けることだ』と答えました。効率や管理を優先しがちな日本人の私に、悠久の時間が流れるインドらしい、建築への真摯な向き合い方を教えてくれたのです。」(飯田寿一著)昨日、NOTE(ブログ)に書いた映画「ユートピアの力」。そのコルビュジエ・ワールドを観た後で、インド人建築家による本作を観て、まさに建築に対する考え方や、建築に限らないインド民族特有の哲学に触れ、私自身も多少なり悠久な時間の流れを齧ったような気分になりました。これは私にとって貴重な時間を与えてくれた映画だったと思っています。