note
2025/12/05 Friday
友人が作るシュトレン
1980年から85年まで私はオーストリアの首都ウィーンに住んでいました。同地の美術アカデミーに通っていましたが、そこで知り合った日本人の菓子職人と仲良くなっていました。彼はウィーンでの菓子修行を終えると、地元の神奈川県川崎市に戻り、ドイツ・オーストリアの菓子を売る店をオープンしました。私も帰国後に彼の店を訪ね、パティシエの作る本格的なドイツ系の菓子に舌鼓を打っていました。ウィーンでよくクリスマス時期に食べていた保存用の菓子パンであるシュトレンは、当時の日本では知名度が低く、ベーカリーに並ぶことが少なかったように記憶しています。今でこそよく知られたシュトレンですが、私にとっては懐かしい味であり、彼がシュトレン作りを始めたのは本当に幸いでした。毎年この時期になると私は彼の店「マリアツェル」にシュトレンを注文しています。あの頃、ウィーンに滞在していた先輩の画家や、時期が前後してスペインに滞在していた彫刻の師匠宅へシュトレンを郵送するのが、私にとって晦日の定番になっていて、あの頃の思い出をいつまでも共有したいと願っているからです。以前NOTE(ブログ)に書きましたが、シュトレンはドレスデン発祥のドイツパンと言われていますが、資料によると1329年ナウムブルグの司教に贈呈したクリスマスの贈り物という記録があるようです。シュトレンは坑道と訳されていますが、幼子イエスのおくるみに形を似せていることがあって、その生誕であるクリスマスまでに食べていくパンという謂れがあるのかもしれません。シュトレンを薄く切って紅茶と楽しむと、そろそろクリスマスだなぁ、今年もあと僅かと思うのも私がキリスト教国で暮らした名残りなのだろうと感じています。