「キリスト教美術をたのしむ」(金沢百枝著 新潮社)の「殺人、箱舟、バベルの塔」は7つの単元から成っています。今回は〔15ノアの箱舟と大洪水 Ⅰ〕から〔18バベルの塔〕までを扱います。まず〔15ノアの箱舟と大洪水 Ⅰ〕。「地上に人が増えはじめると、人間は『悪いことばかり考えるように』なりました。それをご覧になった神さまは、人を造ったことを後悔し、大洪水を起こして世界を一新することに決めました。~略~しかし、堕落した世にたったひとり、御心にかなう人物がいました。セトの子孫で、アダムから数えて10代目のノアです。~略~神さまはノアに箱舟を造るよう命じ、ノアの3人の息子とその妻、そして地上のすべての動物の雄雌が、大洪水を生き延びられるよう計らいました。」次に〔16ノアの箱舟と大洪水 Ⅱ〕。「ノアの大洪水の神話的起源はバビロニア神話にあるとされています。『創世記』を書いた人々がバビロニアに強制移住させられたのが紀元前6世紀頃ですから、遅くともその頃から影響はあるのでしょう。聖書では箱舟は直方体ですが、バビロニアの洪水伝説を記す『ギルガメッシュ叙事詩』では、箱舟を立方体としています。」次に〔17ノアの箱舟と大洪水 Ⅲ〕。「神さまは天地創造の2日目、『水の中に大空あれ。水と水を分けよ』と命じました。世界を覆っていた深い淵の水を上下に分けたのです。大空の上には『上の水』、残った地上の水(海とその奥底にある深淵)を『下の水』と呼びました。大空(覆い)には『天の窓』があり、それらを開くと雨(上の水)が降る。他方、深淵の源が開くと、海の水(下の水)が溢れます。大空(シェルタリング・スカイ)の上が天国。海の果てにある『永遠の山』が、この宇宙の外壁です。太陽も月も、雹や雪も、出番がないときは、『永遠の山』の穴倉にひそんでいます。」次は〔18バベルの塔〕。「『バベル』とは『神の門』の意で、バビロンのことです。紀元前6世紀のバビロンには90メートルにも達する高い塔があったと、近年の発掘調査で明らかになりました。~略~この物語のポイントはふたつあります。ひとつめは、『全地に散らされることのないように』とあるとおり、人間たちが集結することで力を有し、神の意のままにならない存在になろうとしたこと。ふたつめは、言語の混乱です。ひとつの言葉しかなかった彼らの傲慢を戒めるために、神は言葉を多言語化し、それによってバベルの塔の建設計画は瓦解しました。」今回はここまでにします。