先日、見に行った世田谷美術館で開催されていた「ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙」展の図録から、色彩に関する記事を抜粋いたします。私はアフリカと言えば、泥染めに見られるようなアースカラーを連想してしまうのですが、展示されている作品の色彩は、やや彩度を落とした私好みのものが多かったように思います。図録にこんな文章がありました。「色の三原色は赤、黄、青。それに対し、川田(順造)は多くの文化の基本色である赤、白、黒を『文化の三原色』と呼び、どの言語でもそれぞれを指す言葉が、一日の明るさの変化に関係することが多いと気づきました。しらじらとした夜明け(白)、太陽があかあかともえる昼(赤)、そして日が落ちてくらくなる夜(黒)。川田は色に与えられる言葉を通して、人類に共通する生活体験を見ていました。サバンナの手仕事でこの3色がよく使われたものとして、木の仮面や革製品があります。仮面では、赤は酸化鉄の多い岩を、白は石灰質の岩を砕いて水を混ぜ、黒は木炭の粉や煤で着色しました。革製品では、山羊の皮をなめし、ある植物の実や茎を浸した液、また鉄片を浸した地酒につけるといった作業で、それぞれ赤や白、黒に染めました。」人類が最初に色彩を手に入れる過程が垣間見える行為に、私は興味津々で、その土地から与えられた顔料や染料でいろどったモノで、呪術や祭りを行なったり、装身具にしたのだろうと彼の地に思いを馳せました。そんな色彩に関して言えば、私たちは絵の具の歴史として、顔料に展色材を混ぜて絵の具を作成したことによって、さらに混色して多くの色彩の種類を手中にすることができたのでした。日本では岩絵の具や胡粉などに膠を混ぜて使っていたようですが、「いろどる」ことへの人類史を紐解くと、きっと風土であったり、民族の特徴であったりして、面白い考察が出来そうな気がしています。私がアフリカン・アートが好きな理由が、その土地に根ざした色彩や造形があるからで、そこに生命の喜びを感じるのは20世紀に活躍した芸術家と同じ発想なのかもしれません。