「キリスト教美術をたのしむ」(金沢百枝著 新潮社)の「義人と預言者、ヒロイン群像」は5つの単元から成っています。今回は〔35 ヨナⅠ〕から〔37 スザンナ、エステル、ユディト〕までの3単元を扱います。まず〔35 ヨナⅠ〕。「この大嵐は誰のせいか、船員たちは占うことにしました。籤を引くと、当てたのはヨナ。観念した彼は、みなに事情を説明し、こう続けます。『わたしの手足を捕らえて海にほうり込むがよい。そうすれば、海は穏やかになる。わたしのせいで、この大嵐があなたたちを見舞ったことは、わたしが知っている』。しかし船長はそうせず、船を陸に戻そうとみなで懸命に漕ぐのですが、海は荒れるいっぽうです。やむなく彼らがヨナを海へ放りこむと、海は静まりました。すると神が、大魚に命じてヨナを呑みこませます。ヨナは3日3晩、大魚の腹のなかですごしたあと、陸地に吐き戻されました。」次に〔36 ヨナⅡ〕。「キリスト教徒はヨナの物語を『救済』と『復活』の象徴としますが、ユダヤ教徒にとっては『悔悛』の物語です。神に逆らったヨナは大魚の腹中で改心したからこそ助かり、ニネベの町は王が冠を脱いで灰の上に座し、羊たちさえ断食したからこそ神罰をまぬがれた。」最後に〔37 スザンナ、エステル、ユディト〕。「長老たちの㚥計を信仰ゆえにまぬがれたスザンナは、獅子の穴から生還したダニエル、大魚に呑まれて助かったヨナとともに、神の救いを表します。キリスト教では『教会』や『聖母マリア』の象徴ともみなされ、その場合、長老は『異教』と『ユダヤ教』を意味します。~略~あるとき、ペルシャの宰相ハマンが王をそそのかし、ユダヤ人撲滅の勅書を出しました。老若男女を問わずユダヤ人を殺し、その財産を没収するという恐ろしい法令です。エステルは寵愛を武器に王に法令の撤回を請い願い、民族の危機を回避しました。~略~美女を前にしたホロフェルネスはぶどう酒を飲み過ぎ、寝台に酔いつぶれました。このときを待っていたユディト。ホロフェルネスの短剣を抜きとり、その髪を摑むと、『今こそ、わたしに力をお与えください』と神に祈りながら首を斬り落としました。~略~将軍亡きあとのアッシリア軍は怖じ気づいて敗走、ベトリアは救われました。」今回はここまでにします。