Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「建築書の中のコテージ」について

「ピクチャレスクとイギリス近代」(今村隆男著 音羽書房鶴見書店)の「第4章  ピクチャレスクと建築」の「3建築書の中のコテージ」を取り上げます。「第一期のパターン・ブックは旧支配階層が好んだ壮大な古典的建築を扱うものが多かったが、その後の依頼者の変化は当然のことながら建築家達への要望を変えることになり、その結果より小さな出費で実現が可能な小規模建築の提案がパターン・ブックに不可欠なものとなっていった。そして、そこにピクチャレスクがより深く関与するチャンスが生まれたと考えられる。~略~モルトン以降、ピクチャレスクとコテージとの関係は多くのパターン・ブックなどによってさらに探求されるが、その時代はちょうどロマン派の時代に重なる。その中でパターン・ブックは変貌を遂げてゆくが、そこで著者達は創造的想像力を発揮しながら独自の建築観、その背後にある社会観、国家観、世界観とでも言うべきものをコテージのパターンの中に表現しようとした。古典的建築は普遍的真理の表象であるという意義を担っていたが、その普遍性から個別性へという変化を映し出したのが、個人の創造性を許容しやすい小規模建築、中でもコテージ建築だった。~略~19世紀以降、住居の美観とは何かが問われる中で有用性と美は相互に関わり合う重要な問題であるとみなされるようになる。1807年にポーコックはピクチャレスク美は有用性と合流しうると述べ、1828年になるとラウドンは実用の住まいとしての『適合性』は美観にも関わる重要項目であると強調するに至る。つまり、住居としての適切さ、つまり有用性は美の一部と考えるようになっていったのである。~略~建物の地理的条件、気候や風土、建築資材、住民の生活様式、等々といった地域性に関わる項目がコテージ論議に不可欠なものになっていったのである。そして、この地域性の追求はコテージの集合体である村落景観への注目や、コテージの住人へのコミュニティへの関心を生むことになる。さらに、この問題は各々の地域の集合体である国としての『イギリスらしさ』とは何かという国民的問いかけへと発展していった。」今回はここまでにします。

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