「ピクチャレスクとイギリス近代」(今村隆男著 音羽書房鶴見書店)の「第3章 ピクチャレスクと庭園」の「4ピクチャレスク理論の完成(1)」を取り上げます。本単元はナイトの「風景:教訓詩」が中心になります。ナイトはブラウンの風景庭園を辛辣に批判していました。「ブラウンの庭園は、風景の『材料』を周囲と『結び付けず』に『バラバラ』に置いただけの、豊かな自然とは相容れないものであるのに対し、よき『趣味』が生み出す理想の風景では『(景観を)構成する部分部分』は一つにまとまり、『目を魅惑し、魂を虜にする』『美しく、見事に混ざり合った全体』を作り上げる。~略~ブラウンやその追随者達に対する攻撃は、庭園内の自然はどうあるべきかという問題とは異なった面からも行われている。それは、所有者の財産をみせびらかそうとする彼らの卑俗性である。領地の地図を示せばよいのにそれをせず訪問者をさ迷わせて苦しめるのは、領主が自分の地所の広さを見せつけたいからであるとして、そのような行為は領地の豊かさとその一方での貧しさの両方を露にしていると詩人は非難する。~略~まずナイトはその土地の『天候と土壌』をよく『吟味』してどのような植物が最も『ふさわしい』のかを見極めるべきだとする。そうすれば豊かな葉や若枝が得られるのであり、その反対に樹木は『健康で生気に溢れて』いなければ、『目に心地よい』ものではなくなる。~略~今日ダウントンの峡谷には菩提樹、オーク、トネリコ、楡の木々の他、希少価値のある苔や地衣類など、60種を超える古くからの植物と、カワウソ、アイサ(鴨類)、姉羽鶴などの動物が生息し、これらの豊富な動植物がこの地域をナチュラル・イングランドの保護の対象にしている。人口芸術である庭園を『自然』に近づけることを目指したナイトの理想は、現代においてようやく完成していると言ってよいかもしれない。」今回はここまでにします。