Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

Scroll
exhibition
【日時】2025/07/21〜26
【場所】ギャラリーせいほう
note
「ウッチェㇽロ」について

「芸術家列伝1」(ジョルジョ・ヴァザーリ著 平川祐弘・小谷年司訳)の「ウッチェㇽロ」について、気に留まった箇所をピックアップいたします。「パーオロ(ウッチェㇽロ)は、およそいっさいの時間を無為に過ごすことなく、常に芸術の最大の難問を追い求めて、建物の平面図や、建築物の側面図から、遠近画法を引き出す方法を完成の域にまで高めた。それは屋根や軒蛇腹にまで及ぶもので、線を交叉させ、その線が中央に集中し、そこで消滅するよう工夫してあり、その中央は視座に応じて、高低いずれの点なりに最初から決めておくのであった。それで要するにこの難問に非常に熱中したあげく、ついに画面で人物がきちんと足を据えたところに人物を置く、その方法や法則を発明したのであった。すなわち画中のどこで人物を次第次第に縮めればよいのか、そして遠ざかるにつれて人物も短縮すればよいのかーこうしたことは元来は偶然まかせに行われていたことであったが、ウッチェㇽロはまた丸天井の交線やアーチについても同じように方法を発見した。梁と格間の間にはいりこんでゆくように描くことで天井に遠近をつける方法や、また家の壁の尖った角に、その角に沿って曲がっていながら、しかも遠近画法を用いたデッサンによってその角度を修正した、円柱の列を描いた。そうした問題に熱中するあまり、ウッチェㇽロはほとんど世間と交際もせぬ、野蛮人のような、ひとりぼっちの人となり、何週間も何箇月も家に閉じこもって、人前に姿を見せなかった。」それでもウッチェㇽロの業績は大きかったようです。「パーオロ・ウッチェㇽロは変人であったけれども、自分と同業の職人たちの才能をよく認め、よく愛した。そしてそうした人たちの名が後世に伝わるよう、自ら画筆を取って、長い板に5人の秀でた芸術家たちの肖像を描き、彼らを記念してその板絵を自宅に大事に取っておいた。その一人は画家ジョットで、ジョットは芸術の光であり、芸術の始めなのである。次に建築面ではフィリッポ・ブルネㇽレスキ。彫刻面ではドナテㇽロ。そして遠近法と動物画の面ではパーオロ・ウッチェㇽロ自身。そして数学面では友人ジョヴァンニ・マネッティ。ウッチェㇽロはこのマネッティとしばしば会っては、ユークリッドの諸問題を論じたのであった。」ルネサンス期に遠近法が確立されましたが、その立役者がウッチェㇽロでした。今回はここまでにします。

Archives