2026.08.04 Tuesday
今日の朝日新聞「折々のことば」に掲載された記事より、その内容を取り上げます。「人間は、積極的に誤解をすることで、初めて何かを見いだせるんじゃないか 勅使川原三郎 」この言葉に著者の鷲田精一氏がコメントを寄せています。「『滑って転んで間違えて。むなしくて、からっぽで、お手上げになって』と続く。正しい理解を蓄えるより、『間違えるという愚かさ』を引き受ける中で、人は思いもよらぬ景色と出逢い、救いを得もするとダンサーは言う。辻褄を合わせるより、『人々が正解とする世界から足を滑らしてしまう』方がよほどいいと。本紙7月30日夕刊『楽しむ』面でのインタビュー記事から。」創作ダンサーは身体の動きやリズムを探っていく中で、失敗を受け入れ、さらに高みを目指すために、妥協をしない(つまり辻褄を合わさない)道を選ぶのだろうと思います。それは自分自身を追い込んでいく辛さがあって、肉体をあと少しで破壊することになるかもしれない境地を味わうのでしょう。私も曲がりなりにも創作に携わる者として、幾度となく失敗を受け入れてきました。自分が納得する基準をどこにおくのか、今作っているものがついにカタチにならなかったとしたら、どうしようか、苦しい局面に立たされることもありました。正解はないけれど、きっとこれが一番良い方法だろうとイメージしながら日々創作していますが、記事にある「思いもよらぬ景色と出逢う」ことが最上の喜びなのかもしれません。創作活動に限らず、どんな仕事であれ、紆余曲折した先に思いもよらぬ景色があれば、人はそれだけで今までの労苦が報われるような気がするものです。「積極的に誤解をする」ことや「間違える愚かさ」は、その境地に達しないと経験できないと私は考えます。教職に就いていた頃、授業で生徒に失敗してもいいよと言っていた裏側に、あなたは目の前にいる生徒より、失敗に対する積極的な受け入れがあるかを自問自答していました。カタチを成さなくなる結果は何を齎すのか、そこで自ら辿った道がどうだったのか、もう少し生徒に考えさせる時間を与えたかったと今でも悔やまれています。
2026.08.03 Monday
昨日の朝日新聞「天声人語」に掲載された記事に注目しましたが、これをNOTE(ブログ)で扱おうか迷いました。政治色のある記事を載せないと決めていたのですが、余りにも身近な話題で、しかも私は横浜市民であり、5年前は校長という立場でもあったので、記事を載せることにしました。「英語で『パブリックサーバント』という言葉がある。公衆に奉仕する者という意味で、日本語では『公僕』と訳される。公務員や、ときには政治家も含めて使われる。そんな公僕が集まる市役所で、ひどいパワハラが起きていた。横浜市の山中竹春市長が先日、第三者による調査で、様々なパワハラをしていたと認定された。報告書に書かれたハラスメントの数々に驚いた。怒鳴る、書類を投げるにとどまらず、職員を、人間のクズ、ポンコツなどと呼んだ。特に深刻なのは人事を使った脅しだ。職員の異動を『粛清』と言い、心身の不調で退職に追い込まれた人もいた。人材が失われ、業務が滞れば、その被害者は376万人の横浜市民だ。ある職員は『自由にものも言えず、恐怖政治が敷かれたような職場だった』と打ち明ける。でも、やりがいのある仕事だから我慢してきた、という言葉に胸が詰まった。そんな中で声を上げたのは、現役の人事部長だった。助けを求める人たちを前に、『逃げてはいけないと思った』。容易な決断ではなかったはずだ。告発した人が不利益を被らないように、守れる社会でなければと思う。組織を率いることは、まず部下に奉仕することである。周囲の信頼を得られれば、人は自然と付いてくるー。半世紀前、そう説いたのは、米国のロバート・グリーンリーフだ。組織論を研究し『サーバントリーダーシップ』という言葉を広めた。奉仕する者となり、信頼回復できるのか。市長は問われている。」私が校長だった時代に、自分はどうだったのかを振り返る貴重な記事で、職員ひとり一人との向き合い方を自分に問いかけました。自分が人の上に立つことで自分を過大評価していなかったか、実務を担当する人の気持ちを理解していたか、職員との溝はなかったと自分では思っているけれど、全員が自分と同じ方向を向かせることに無理があったのは私自身はよく分かっていたと思っています。リーダーシップとは何か、未だに私には明確な答はありません。
2026.08.02 Sunday
日曜日になりました。日曜日は創作活動についてNOTE(ブログ)を書いています。昨日で個展が終わり、来年の個展まで1年間の期間があります。つまり今月は個展準備期間としては一番遠いところにある1カ月で、来年に向けてじっくり思索が練られる時期でもあるのです。陶彫による集合作品の継続は私の制作の中核となるもので、今年発表した6点から成る「発掘~六蹟~」は、それぞれ向かい合う位置に陶彫部品を配置しているため、これは全体集合として捉えています。その反対として拡散があり、来年は陶彫部品を画廊の床に点在させていこうと思っています。その延長として壁面も考えていくのが、来年の課題です。壁に掛ける作品も彫刻として意識していくつもりです。さて、新たな造形を思索していく上で、芸術作品の鑑賞は欠かせないものです。私は常々実技と鑑賞は車の両輪と考えているので、鑑賞の対象が自作に直接的または間接的に少なからず影響を与えてくれることを望んでいます。自分の感性を磨くことは年齢に関係なく、また生涯を通して行うものと私は信じているので、自分の体力が続く限り、美術館等へ足を運ぼうと決めています。外国へも自分を豊かにするために行きたいのですが、そこは自分の体力と財力を考える必要があります。美術館鑑賞では幸い私は首都圏に住んでいるので、とりわけ東京の美術館には気楽に出かけることが可能です。夏から秋にかけて展覧会の企画は毎年充実してきます。映画館やその他の鑑賞も適宜入れていきたいと思っています。一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っているRECORDも遅れを取り戻すべく頑張っていくつもりです。読書は現在ドイツ系のマニアックな芸術家に関する書籍を読んでいますが、これも首都圏に住んでいるメリットがあって、芸術関係の特殊な書籍が手に入るのです。神保町古書街やら池袋の大手書店に出かけていくのが楽しみのひとつです。今月も元気に過ごしたいと思います。
2026.08.01 Saturday
8月になりました。今日はうしお画廊での個展最終日になり、午後5時から搬出を始めました。昨日のNOTE(ブログ)にも書きましたが、個展には多くの人たちが来てくれて、感想やご意見をいただきました。来年に向けて今年の作品の足りないところを補填し、また発想を新たにすることを決意して、自分の求める空間の充実を図りたいと思っています。感想では「発掘~六蹟~」に関するものが多く、6点が向かい合う彫刻に板材を組み込んだ欠落した文様に古代文字を感じた人や、彫刻の姿を囲んだ人に喩えて、祝祭をイメージした人もいました。それぞれに刻んだ文様を見てケルト文化や古代中国文化を彷彿とさせると伝えてくれる人もいました。とりわけ画家の人たちは発想力に優れ、自分の考えが及ばないことを言っていただいて、私は感謝にたえません。作者の考えを超えていただけることは作者冥利に尽きます。ありがとうございました。個展の搬出作業は午後5時から始まりました。搬入の時に手伝ってくれたスタッフたちがやってきて、速やかにテキパキと作業を始めました。集合彫刻は分解し、それぞれの木箱に収めました。壁に掛けた作品はエアキャップのついたシートで包みました。毎年やっていることで慣れもあり、木箱や梱包シートは業者の車に積み込みました。銀座を出たのが午後6時半ごろで、幸い渋滞がなかったので1時間程度で横浜にある工房に到着しました。ここで漸く私は21回目の個展が終了したことを実感しました。スタッフ数人にはレストランで夕食を奢り、それぞれの自宅へ車で送りました。今回の個展は画廊が変わったこともあり、来客への気遣いもあって、実のところ私は相当疲れました。今回も個展が開催できたこと、複数のスタッフがいてくれて搬入搬出が滞りなく出来たこと、何よりも私自身が健康であったこと、さまざまな幸運があってこうした取り組みができていることに私は幸せを感じます。また来年、この時期に東京銀座のうしお画廊で個展を開催いたします。私の造形イメージがさらに発展していることを祈りながら、新たな1年を始めてまいります。
2026.07.31 Friday
今日で7月が終わります。毎年この時期に開催している個展を今回も無事にできたことを嬉しく思っています。例年より開催時期が遅くなり、個展はまだやっています。画廊がギャラリーせいほうからうしお画廊に変わったことで来廊者が異なり、今回は画家の方々が多く来られました。私の陶彫による集合作品は、うしお画廊では珍しい分野に入り、感想やご意見が多様化して、私は日々楽しく過ごすことができました。今月27日から個展会場にいた関係で、今月は31日間のうち工房に行ったのは26日間で、工房では早めに搬入準備を終えたので、来年に向けて陶彫制作を始めていました。今のところ新作の大きな陶彫作品3点が乾燥を待っている状態です。現在、酷暑なのでこの時期に窯入れはやりません。鑑賞では高校の同期生である竹中直人君の2人展(ギャラリーQ)や友人の女流画家展(うしお画廊)にお邪魔しました。美術館では「川合玉堂」展(山種美術館)に行ってきました。映画鑑賞では「キングダム魂の決戦」(TOHOシネマズ鴨居)を観てきました。来月は個展も終わるので、鑑賞に時間をかけようと思っております。見たい展覧会が目白押しなのです。一日1点を自分のノルマにしているRECORDも今月は頑張っていました。個展の時期は前向きになるようで、案内状の宛名印刷やらパンフレッドの三つ折りもやっていました。読書はドイツ人芸術家のハンス・ベルメールの伝記を読み始めていて、人形制作やドローイングにエロチシズムを漂わせたシュルレアリスムの奇才の生涯を味わっています。今週は毎日電車で新橋駅まで通い、画廊に出勤する毎日ですが、銀座は相変わらず外国人観光客の多さが目立ちます。日本の酷暑を彼らはどう思っているのでしょうか。いや、ヨーロッパも酷暑だったっけ、と思いながら私は足早に銀座の交差点を横切っています。