2007.10.20
「表現主義の精神的背景」(大森淳史著)という論文の中で、「カンデインスキーは1907年頃から、神智学協会ドイツ支部長であったルドルフ・シュタイナーに惹かれて神智学の熱心な信奉者となった。[芸術における精神的なもの]など彼の著述に一貫する唯物論(物質主義)への攻撃的姿勢は、彼が原子論を認めず、有機体と世界の非物質的根拠としての霊的[精神的]エネルギーの存在を確信していたことを示している。」とあります。カンデインスキーが内なるものを表現するにあたって、彼がこうした神秘思想に影響され、やがて無対象絵画(抽象絵画)に繋がっていくプロセスが用意されたと言っても過言ではないでしょう。目に見える対象から、目に見えないものを見えるように表現するドイツ表現主義の考え方のひとつに神秘思想があることが、これでようやく納得できました。 Yutaka Aihara.com