Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「世界布教、土着文化等」について
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第1章 16世紀における近代世界システムの形成と『世界文化市場』の成立」は6つの単元からなっています。今回は「2 世界布教と世界文化」と「3 土着文化とキリスト教文化の関連」と「4 カトリック教会側の布教美術政策とグアダルーペの聖母」の3つの単元を取り上げます。まず「2 世界布教と世界文化」から。「地中海世界に生え育った『文化』が、はるかアメリカ、アジアの地に種子を蒔かれ、根を下ろし、どのような事実を実らせるのかという問題が提出される。16世紀以降の非ヨーロッパにおけるすべてのキリスト教文化は、基本的にこの枠組みで考察されるのである。」次に「3 土着文化とキリスト教文化の関連」です。「(植民地で形成された美術)の過程は支配者側と先住民側のあいだの困難な交渉であって、そこには『植民地の現実』を生きた先住民が創意を生み出したとしても、その過程は単純化できるものではないとする。このことは、世界に移植されたキリスト教美術を研究する場合にきわめて正鵠を得た議論である。~略~(聖母像を選出した理由として)聖母像が異教徒の宣教にあたってもっとも多用された聖像だからであり、また、対抗宗教改革期のカトリックが、もっとも厳密に規制した定型図像だからである。したがって、聖母像という模範型が、その地域の政治的社会的状況、その地域の伝統文化、あるいはその他の複合的な歴史的過程にしたがって、どのように変容するかが明らかになるのである。」最後に「4 カトリック教会側の布教美術政策とグアダルーペの聖母」から。「スペインからの入植者、メキシコで生まれたスペイン人、土着民という複雑な人種的構成からなるメキシコという国家のなかで、かれらを統合するものは『土地』しかない。『サボテンの上に立つ母なる女性』は西欧人にとっては聖母であり黙示録の女であるが、土着の人間にとってはトナンツィンである。現地のインディオ、ファン・ディエゴへの聖母の出現は、科学的には証明できない『神話』である。~略~外来の聖母ではなく、『わが大地に降り立った聖母』こそ、この広大な土地に住む多種多様な人種を統合できたのである。」今回はここまでにします。