2025.12.12
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第2章 16世紀における近代世界システムの形成と『世界文化市場』の成立」に今日から入ります。本章は2つの単元から成っていて、今回は「トレント公会議の聖画像崇拝再確認」を取り上げます。「ルターの主張は、中世的な民衆信仰の外在的形態を廃し、個人の霊魂に信仰の主体を置こうとする近代化の動きであったと考えられるが、古来からの民衆の信心形式を継続することを重視するカトリック教会は、この攻撃を致命的なものとして受け取った。~略~トレント公会議では、聖人、聖遺物、聖画像の再確認が行なわれ、これらを擁護する言説や文化が『対抗宗教改革』運動の重要な部分を占めることになった。~略~教会と教皇および聖職者が、信者に対して、義認されるのは、人のおこない、すなわち、七つの『秘蹟』によっているのだと教えてきたその教義が否定されてしまったことになり、信仰上の動揺は非常なものがあった。~略~公会議は、秘蹟においては信仰のみが有効だとするルターに抗して、秘蹟は執行されることをもって有効であるという『有効なしるし』の教義を明確にした。ミケランジェロの《最後の審判》は義認に関して曖昧な表現をとっているとされるが、それはこの作品が1541年に完成したからであって、誰かはわかっていないが彼の助言者も彼自身も、疑認論について明確な概念があったのかどうか不明である。」本文に登場する義認とは何か、義認とは、キリスト教において、罪ある人間が神によって義(正しい)と認められることを指すものです。また秘蹟の説明もしておきます。秘蹟とはキリスト教で、神の恩寵を信徒に与える主要な宗教的儀式のことです。 ギリシア正教では機密と称し、ギリシア正教とカトリック教会では洗礼・堅信・聖餐・告解・終油・叙階・婚姻の七種があります。「綜合的にみてトレント公会議は新旧の論争の的となった教義を明確に再定義したことでカトリック教会の危機を救ったということができる。しかし、その後教会は会議で決定した事項を遵守し、実行する必要があった。そのために現代の教皇は、新しいエネルギーに溢れた各地の信心会の協力や、トレントで描き出された理想的な司教像を実践する優秀な高位聖職者らの献身的な努力を動員しなければならなかった。」今回はここまでにします。