2007.05.16
表題はみやさんの著作「ルーマニア 人・酒・歌」にある抄です。ギリシャの遊牧の村の記憶を昨年のブログに書きました(2006.9.13)が、これもみやさんの著作によって、かなり鮮明な記憶が戻りました。あそこは直系ルーマニア人であるアルマニア人の村であったこと、彼らは昔のしきたりに固執して民族の伝統に誇りをもっていることなど当時思い当たることがいくつもありました。牧夫たちに山の上の石室まで案内された時、さらに眼前に広がる岩肌を剥き出しにした崖を、たくさんの羊の群れが降りてきて、その光景に感動したことを今でも思い出します。当時記憶に留めたギリシャ特有の青い空と灰色した岩壁、乳灰色の羊の群れが、自分が現在制作している彫刻作品にスケールとイメージを与えていることは間違いありません。みやさんの本が未知の土地を書いたものであれば別の楽しみ方があると思いますが、自分にとっては生々しい記憶とともに甦る一冊になっています。ヨーロッパ原初の生活を垣間見たことが、自分の創作の原点にもなっているのです。