2007.10.22
イタリア彫刻界の巨匠であったマリノ・マリーニの大規模な展覧会があったのは、もうかれこれ30年近く前になるでしょうか。当時自分はまだ学生で彫刻を学び始めた頃でした。同じテーマで何度も塑造を試みる巨匠の作品に畏敬の念をもっていました。中でも驚いたのは壁に何点も掛かっていたタブロー(油絵)でした。その色彩豊かな世界は、立体にも通じ、また立体では伝えられない思い切った色面構成がありました。自分にはこれほどの色彩感がなく、色を楽しんで使っているマリーニが羨ましく感じました。イタリアの開放的な太陽が、大らかな形態と色彩を育んでいると想像しました。立体と併行して平面作品を作っている自分はこんなところにルーツがあるように思います。学生時代に目に焼きついた名作の数々はなかなか頭を離れることがありません。 Yutaka Aihara.com