2008.02.26
真鍮直付けで具象彫刻を作っている池田宗弘先生は、自分の大学時代からの師匠です。大学に入った頃、「毎日現代美術展」が都立美術館であって、そこで初めて池田先生の猫の群像による作品に出会いました。塑造を学んでいたにも関わらず、自分の中に抽象思考がありましたが、池田先生の作品に触れて、まだまだ具象で学ぶべきものがあると感じました。池田先生の作品は細い線による構成的な要素があります。この軽やかさは真鍮を素材にしていることが大きいと思います。とくに初期の「サーカスシリーズ」は綱渡りをする人物や車輪に乗る人物など、風に揺れるほどの危うさがありながら、造形としてはしっかりした構成があって、大きな空間を感じます。サーカスを演じる人物には首がありません。首を作ってしまうと、鑑賞者は顔の表情に注目してしまうので、あえて首を作らずに全体の構成を見せる配慮をしています。首がないことで俗っぽさから離れ、造形としての面白さが前面に出ていると感じます。 Yutaka Aihara.com