2008.04.20
久しぶりに教え子の美大生が作業場にやってきました。プロダクトデザインを専攻している彼女は家具制作の課題を抱えてきました。自分が制作している彫刻の現場に家具を持ち込んできたことが契機になって、家具の在り方を考えてみることにしました。家具は収納として、または休息を与えるモノとして、または作業を行う機能として日常必要不可欠です。生活に密着して存在するものですが、アート的な発想も大いにあるべきと考えます。狭小な日本の住空間をいかに豊かにするか、空間を占領して存在するものであれば、アートのように新しい視点を加えることで、そこに住まう人の心理に働きかけて、安定した情緒が生まれたり、人との関わりや会話が弾んだり、思考が深まることがあろうかと思うのです。住空間の大切さを語る時に、家具のもつ要素を無視するわけにはいきません。ではどうしたら理想的な家具が創作できるのか。日常品としての使いやすさは自由な発想をある程度制限することがあるでしょう。そうした手枷足枷を巧みに利用して発想の転換を図るところに未来の家具の在り方があると信じます。造形作家側からの挑戦、デザイナー側からの挑戦があって、ユニークな家具が生まれることを切望してやみません。 Yutaka Aihara.com