Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

木と森の関係に思うこと
受験デッサンを始めた高校生の頃、自分にデッサンの指導をしてくださった画家の先生から「木を見て森を見ず、森を見て木を見ず」と言われたコトバが気になって、それがデッサンの極意とも取れて自分の脳裏に焼き付いてしまいました。部分に拘るばかりに全体の調和が取れず、また全体ばかりを追いかけていると、部分が疎かになるというもので、今でもその極意は生きていると思っています。絵画表現は全体と部分の関係を見るのが容易で、一筆ごとに画面から離れて、全体を見回すことが出来ます。鑑賞者はまず全体を見て、その印象に感銘を受け、そして部分に眼を凝らして、その卓越した表現を味わうものだろうと自分は考えています。全体が緊張感をもって統一されている作品は秀作です。私が試みている集合彫刻は、部分を作って集合させていくもので、発想段階での全体感はあっても、実際の作業で全体が見えてくることがありません。最終的な制作工程になって漸く「森」が現れるのです。どんな「森」が組み立てられていくのか、自分の当初のイメージに近づいているのか、自分の計算と予想とが入り交じって毎回複雑な思いの全体構造になっていくのです。今夏発表する作品の「森」はまだ見えていません。毎年不安に駆られながら、豊かな「森」を目指して弛まず制作を続けています。