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「現代抽象美学の形成 」について
「抽象芸術」(マルセル・ブリヨン著 瀧口修造・大岡信・東野芳明 訳 紀伊國屋書店)の「Ⅲ 現代抽象美学の形成 」に入りますが、この章には具体的な芸術家が登場してきます。頁を捲ってみると、モンドリアン、カンディンスキー、クレー、クプカ、ドローネー、マーレヴィッチの作品に関する論考が綴られています。このNOTE(ブログ)にはそれぞれの芸術家について別稿で取り上げていく予定です。その導入として「絵画の新しい道」という文章がありました。「すべての運動に共通していた純粋な形態への飛躍には、多少なりともはっきりと、抽象への傾きがみられる。これらの《エコール》は、それぞれ独自の仕方で抽象精神を分け持っている。しかも抽象芸術がこれらの流れのどれを選ぶかによって、そこに特殊な性格が生まれてくるのであり、どの要素が支配的であるかによって、抽象芸術の性格も、科学的、主知的、ロマンティック、印象主義的、表現主義的等々の色合いを帯びるといえる。」 ここで後世になって表現主義グループとも捉えられる「青騎士」の抽象芸術に与えた影響が述べられていて、とりわけフランツ・マルクの言葉が印象的でした。「ヨーロッパ人ー今なお残っているきわめて少数のヨーロッパ人ーが、自分たちに形式的概念の欠けていることを苦痛をもって認める日は遠くないだろう…かれらは新しいフォルムを過去や外部世界や自然の様式化された外観のうちには求めず、かれら自身の内部からフォルムを組み立ててゆくだろう…未来の芸術は、われわれの科学的信念に形を与えるだろう。これはわれわれの信仰であり、真理である。そしてこれは、世界がかつて見なかったほど偉大な様式、大がかりなフォルムの再評価を生みだしうるほどに深刻で強固な真理である。」そしてカンディンスキー関連の論考に繋げて、こう結んでいます。「カンディンスキーをはじめとするだれかれが、宗教的な面を強調しながら芸術を語ったことは、抽象作用に対して、そもそもの出発当初から、深い真面目さ、内観的な精神性、おのれ自身の(フォルムの検証を通じての)検証、知的で倫理的な自我の強調といった性格を賦与したのであった。そして個人主義は、以後宇宙との交感と矛盾するものではなく、かえって交感自体にいっそう多彩で豊富で完全な色彩をそえるものとなったのである。」今回はここまでにします。