2026.07.17
私が今も愛読している漫画があります。原泰久氏による「キングダム」で、司馬遷が編纂した「史記」を基にした歴史漫画ですが、作者が想像で補っている部分が多く、そこに私は面白みを感じているのです。この物語は秦始皇帝となる嬴政とその片腕となる将軍李信を中心としたものですが、「史記」には僅かにしか登場しない李信を主人公に据えています。その方が想像力を膨らませることができて、ドラマティックになると図った結果でしょう。アニメも放映されていますが、映画版も5作目になります。その映画「キングダム 魂の決戦」は今日封切りで、私は家内と鴨居にあるエンターテイメント系映画館に本作を観に行きました。この映画の主だった内容は合従軍による函谷関の戦いを描いていて、漫画ならかなりの長編になるところを、どうしたら映画サイズに短縮させることができるのだろうと思っていました。函谷関攻防戦だけでなく、数々の戦さも省略してあって、映画では見どころを中心にして構成されていることが分かりました。漫画では順を追って登場する将軍たちが、映画ではいきなり多数登場して、漫画を読んでいない家内は混乱していましたが、それでも将軍それぞれの性格を多少なりとも描いていたのは演出の巧みさがあったと私は思っています。映像の大半を噴煙巻きあがる戦場を描いていて、本作は確かに群像アクロバットとして観ていて疲れる映画ではあるけれど、現代の映像技術はAIを用いたり、空上からのドローン撮影を効果的に入れていて、映像センスも感じました。物語の説明箇所で、石像化した武将が映像として動いている場面が挟んであり、美術スタッフの努力によるものと察しましたが、造形に拘る私はそれが美しいと思いました。ただし、函谷関攻防戦は本作では終わりません。続編が待たれるところです。何の衒いもなく観ていて楽しい映画は観終わった後も楽しい気分になりました。