2007.01.04
20代でウィーンに住んで、いろいろな芸術家から刺激をもらいました。帰国後、長い時間をかけて自分なりに刺激を受けたモノを噛み砕き、理解しようと努めてきました。これらが今の作品に繋がっていると思います。その一人が建築家オットー・ワーグナーで、昔から自分は建築家に憧れていたにもかかわらず、オットー・ワーグナーを知ったのはウィーンに行ってからでした。旧市街を散歩していた時に突如自分の感性を刺激する建物に出会いました。ウィーンの市街に見られるバロック建築群とは明らかに違う軽やかな古典的傾向を持つ建物。よく見ると装飾と思われた模様が、実は構造体の一部であり、その壁面に打たれたリズミカルな鉄骨はバロックやゴシック様式にも負けない存在感を示していました。その建物は郵便局でした。内部にある鉄柱の美しさは、どの美術館で見たオブジェより美しく感じられ、それも構造体の一部でした。オットー・ワーグナーの仕事にただならぬ才気を感じてから、彼の書籍を集めだし、実際の建築物を見て歩くことにしました。