2013.01.25
「マチスの肖像」(ハイデン・ヘラー著 天野知香訳 青土社)を読み始めました。画家アンリ・マチスはピカソとともに20世紀を代表する巨匠です。先日、鎌倉の美術館でマチス晩年の画集「ジャズ」を見てきたばかりで、光り輝く色彩による世界を堪能しました。マチスは自分の鑑賞遍歴とともに評価が変わっていった画家で、そういう意味では先日のNOTE(ブログ)に書いたエル・グレコと同じです。マチスはその強烈な色彩で野獣派と言われています。色彩が写実から離れ、物質的な色彩に移行していく過程で、カタチも象徴化・抽象化の一途を辿っていくようです。大作「ダンス」は大胆な構図と色彩で印象深く自分の脳裏に焼きついています。晩年の切り絵に至っては抽象そのものになり、単純にして豊かな表現を手に入れています。南仏ヴァンスの礼拝堂はマチス芸術の頂点をなすものと自分は思っているので、いずれ見に行きたいと願っています。マチスが線や面を単純化・本質化していく過程で、どのような思索をもち、深化発展していったのでしょうか。本書が楽しみになっています。