2014.05.17
工房には先日の図録撮影の残り香が漂っています。工房スタッフが床の掃除をしてくれたおかげで綺麗になっています。来年に向けて新しい制作に入りたいところですが、「発掘~層塔~」の鑑賞者に見えない部分の仕事が残っています。また梱包作業も始まるので、新しい作品にはまだ着手できません。作品の見えない部分は自分にとって重要な意味を持ちます。自分の通っていた大学に故若林奮先生がいました。自分は直接講義を受けたことがないので、先生のお話を伺う機会は少なかったのですが、作り上げた諸々の立体を鉄板で覆ってしまう若林ワールドに魅了されていました。思索や情感を覆うという意味や意図するところを考えるのは、彫刻の何たるかを学ぶ学生にとって大変刺激的でした。自分の彫刻の在り方を考えると、人が眼にする作品の表面だけではなく、彫刻としての見えざる構造体を作ることで、立体造形が彫刻の概念を持ち得ると自分は考えています。それがたとえ隠れていても哲学を有する視覚表現であればこそ、重要な意味として考えられるのです。現代アートの多様性から言えば彫刻の旧態依然とした考え方と捉えられるかもしれませんが、自分はあくまでも彫刻に拘りたい故に、今日は見えない部分の作り込みをやっていたのでした。