2014.08.06
昨日のNOTE(ブログ)の続きです。「オルセー美術館展」で注目した作品に「サン=ラザール駅」があります。画家クロード・モネが1877年に描いた油彩です。雰囲気というコトバは、実態があるようでいて曖昧であり、でもその空気を纏っている状況を意味しています。雰囲気に惑わされないように本質を掴めと、学校の技術修得の実習では教わりますが、雰囲気というコトバはそれでも気になるコトバで、作品構成要素の大きなひとつではないかと自分なりに思っているところです。「サン=ラザール駅」はその雰囲気をまず第一に鑑賞する絵画だと感じます。モネは晩年になって睡蓮の連作を大きなスケールで描きました。これはモネが水面描写に心血を注いでいて、睡蓮を媒体にして水の雰囲気を描いていると自分は感じています。「サン=ラザール駅」はどうかと言えば、空気を描いていると感じます。画面に近づくと何が描いてあるのかよくわかりません。遠くで見ると鉄筋で作られた駅舎と発着する機関車の姿が俄かに見えてきます。都市生活の始まりと言うか、新素材による都市景観を機関車が吐く煙に包んで表現しています。都市の工業化に詩情を求めて描いた傑作と言えるでしょう。印象派は、画室に篭って神話を題材にして美しい女性像を描いていた当時の画家に比べると、眼の前に広がるリアルを追求した運動とも言えます。この曖昧模糊としたモネの絵画もリアルな空気を纏っています。視覚芸術の価値が時代と共に変わっていくのを、雰囲気で感じ取ることができると思いました。