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「モディリアーニ」第7章のまとめ
「モディリアーニ 夢を守りつづけたボヘミアン」(ジューン・ローズ著 宮下規久朗・橋本啓子訳 西村書店)の第7章「モディリアーニの成功を夢見る男」のまとめを行います。「ポーランドの詩人レオポルド・ズボロフスキーはこの展覧会を訪れ、モディリアーニのずば抜けた才能に驚嘆した。ズボロフスキーは政府の給費留学生として文学を学ぶために戦前のパリにやってきたが、給費が途絶えたのでセーヌ河岸で本や版画を売って生活していた。~略~八年前にポール・アレクサンドルがモディリアーニを支援して以来、ズボロフスキーほど彼の作品に強い興味を抱いた人物はいなかった。~略~『彼のような画家がカフェテラスで作品を売らねばならないとは何とも惨めなことだ』~略~ズボロフスキーは契約の一部として彼に煙草を提供したほか、苦労してワインも手に入れてやった。今やグラス二杯か三杯のワインは彼の制作活動にとってなくてはならないものだったからだ。~略~ほんの少量の酒で彼が酔っ払えたというのは驚くべき事実だが、おそらくワインは彼の力を発揮させる触媒だったのであろう。彼の友人たちは皆、彼がどんなに酔いつぶれても手だけは正常で、ずば抜けた技術とセンスをもってスケッチすることができることを知っていた。」ここまでモディリアーニと彼の画商になったズボロフスキーの関わり合った部分だけをピックアップして書きましたが、モデルになった女性関係や戦時下の混乱した生活状態のことは省略させていただいています。最後にモディリアーニの人物画家としての特徴を書いた部分を引用いたします。「フィレンツェとヴェネツィアでの修行時代からモディリアーニは女性のフォルムを繰り返し熱心に学習し、パリにきてからも裸体画のクラスに通っていた。彼が描くほかの肖像と異なり、彼の裸婦は物憂げな雰囲気がなく、直接的で開放的、肉感的なフォルムを持ち、華やかな色彩が用いられている。顔の描き方は簡潔で、ほかの肖像のそれのような悲痛な面持ちは見られない。しかし、そうした肖像のモデルとなったのが皆、彼の芸術家仲間や作家の友人といった複雑な性格の持ち主であることを考えれば、心の奥底を暴き出すような苦痛の表情が描き出されたのも驚くにあたらない。かたや、裸婦のモデルとなったのはプロのモデルやメイド、ウェイトレス、乳絞り女といった肉体と性的魅力を誇示する若い健康的な女性たちであった。」