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映画「鬼滅の刃 無限列車編」雑感
現在、人気沸騰中のアニメ映画の劇場版を、横浜市都筑区鴨居にあるTOHOシネマズへ行って観てきました。レイトショーだったにも関わらず、座席の確保が難しい状況で、この盛り上がりはいったい何なのか、自分でも不思議に思えました。観終わった後、家内が「この映画の熱量が凄いね」と感想を漏らしていて、確かに息も切らさぬ面白いストーリー展開があると私も感じました。コロナ渦の中で、クラスターが起こるのではないかという心配もありましたが、映画館側も細心な注意を払っているらしく、ともかく映画の内容に集中できました。「鬼滅の刃」が面白いというのは工房に出入りしている若いスタッフから随分前に聞いていました。私はテレビのケーブルヴィジョンで放映されていたアニメを観て、その世界観を理解していました。まずこの背景を知らなければ、映画を観ても謎の多い物語に終始してしまうだろうと思います。「鬼滅の刃」は、大正時代に家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹も鬼にされた少年が、妹を人間に戻すべく鬼を退治する剣士になっていく物語です。主人公の人間的な成長もあって、随所に教育的な台詞も散りばめられていたり、元々人間だった鬼が死滅していく度に、主人公が優しい心遣いをしていくところが単なる残酷な鬼退治の物語と違うところだと思っています。今回、家内や私が面白いと思ったところが、映画に登場する無意識領域にある核という存在で、それを登場人物によって再現していた場面には頷かされました。私はこうした心理学的な箇所が大好きで、映画に不思議な輪郭を与えていると思っています。この映画には炎柱を担うもう一人の主人公がいて、私は炎の表現に注目していました。図録によると慶応4年の「鳥羽伏見の戦い」の錦絵を参考にしているようで、炎の描き分けが美しく、また色彩のバリエーションも見事でした。3Dと作画を織り交ぜて作った緻密な画面は、その統合作業に大変な苦労があったのかなぁと思い、スタッフたちの並々ならぬ努力が結集した映画であることは疑う余地がありません。日本が世界に誇るサブカルチャーであるアニメは、国内に質量ともに優れた作品が多く、「鬼滅の刃 無限列車編」も宮崎駿監督や新海誠監督の作品に並ぶ日本の代表作品と言えるのではないかと思った次第です。