Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 クリスマス雑感
週末になりました。今日はクリスマスです。クリスマスはキリスト降誕祭のことで、キリスト教が世界的に普及しているため、どこの国でもキリスト教を宗教的や文化的に祝うものです。クリスマスでは国によってさまざまな行事がありますが、起源となるのはイエス・キリストがメシアの予言によってベツレヘムで生まれたとする聖書の記述を根拠としています。ただしイエスの実際の誕生月日は不明です。12月25日を降誕祭とするのはローマ時代に遡るようです。クリスマスに樅の木に飾りつけをしたり、サンタクロースが現れたりするのは、その後の文化の変遷によって現在の形になったものです。街のイルミネーションを楽しんだり、贈り物をするのは今風の商業主義によるものかもしれませんが、キリストの降誕を全世界の人々が祝うことは素晴らしいことだと私も思います。20代の頃に私が暮らしたウィーンでは、市庁舎の広場にクリスマス・グッズを扱う屋台が軒を連ねていて、熱したワインを飲んだ記憶があります。大聖堂ではクリスマスの礼拝が荘厳に始まっていました。ゴシック建築に響き渡る音楽に圧倒されたのも記憶に残っています。それより忘れられないのは、ウィーンから遥々出かけたルーマニアのマラムレシュ県にある小さな村で過ごしたクリスマスで、木造の教会に集まる民族衣裳を着込んだ人々による礼拝には、魂を揺さぶられました。その契機は紀行作家みやこうせいさんが毎年訪れて取材していたのに同行させていただいたもので、突如目の前で起こったルーマニア正教による礼拝は、私にとって宗教とは何かを問いかけるものになりました。村人たちによる真摯な祈りの姿が美しくて、不覚にも涙が出そうになりました。宗教はともかく、人間が生きていく上で何かを信仰することは不可欠なことかもしれないと感じた瞬間でした。少し前まで聖像画家山下りんの生涯を描いた小説を読んでいたので、今もルーマニアでの感動が甦ります。だからといってキリスト教信者になるつもりはありませんが、特定の宗教はなくても信仰を持つことは許されるのではないかと思っています。クリスマスの日にそんな思いが頭を巡りました。