Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 土練り再開で素材実感
今日も朝から猛暑に見舞われる工房で、最新作の取り組みを続けていました。暫く陶土を扱っていなかったので、硬くなった残土を小さく砕いて、水を打ち、一晩ビニールに入れて放置して、小分けにして荒練りをしました。私の使う陶土は単身ではなく、複数の陶土を割合を決めて土錬機で混ぜ合わせます。そのため、前回の成形で削り取った陶土もビニールに入れて保存して、また練り直すのです。私は陶土でほとんど無駄を出しません。焼成して失敗してしまうと無駄になりますが、まだ窯に入れていない陶土は何度でも再生をするのです。陶土という素材を、私は自分の一番身近な素材として、常に寄り添って大切に扱っているつもりです。私は大学時代に初めて彫塑を学び始め、可塑性のある粘土で人体を作りました。当時は空間の中に存在する立体の何たるかを夢中で学んでいましたが、西欧の美術学校では、日本人である自分が人体塑造をする意義を見失いました。私たちの歴史には人体美を賛美する文化はありません。その頃、西欧で見た「日本陶芸展」で、私はとりわけ炻器の土肌の美しさに魅せられました。日本ではなく海外で陶芸の美を発見し、陶芸とは縁がなかった私は不思議な思いに駆られました。私は陶芸の生産地に生まれたわけではないにも関わらず、日本人として無意識に陶芸に親しんでいた生育暦を改めて認知しました。帰国後、栃木県益子や茨城県笠間に通い、陶芸家をやっていた友人に陶芸を教わり、そこでさまざまな陶土を調達し、私自身の求める陶土を求めて実験を繰り返しました。そうして出来上がったのが私のデビュー作品「発掘~鳥瞰~」でした。大学で彫塑を学び始めて10年以上も経っていましたが、何よりも陶土という素材を実感し、それによってイメージを培ったのは確かです。