Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「ロベルト・マッタとシュルレアリスム」と「ヴラマンクとグレコ」について
「死と生の遊び」(酒井健著 魁星出版)の2つの単元をまとめます。ひとつは「内面の宇宙へ降りてゆく」と題された単元で、ロベルト・マッタとシュルレアリスムのことが論じられています。ふたつ目は「魂の風景画」と題されたヴラマンクとグレコのことが書かれていました。まず「マッタとの対話」からマッタの言葉を引用します。「何か見るべきものを提供する人の役割とは、見る人たちを揺り動かせて、より多くの現実を捉えるようにさせることなのです。シュルリアリスム〔超現実主義〕という言葉は、奇想天外な話や馬鹿げた話を語るなどといったことを意味しているのでは断じてありません。この言葉は、より多くの現実を捉えるということを意味しているのです。現実は秘められている、だから表現できないと考えているのは、素朴な人たちか偉大な数学者たちくらいのものです。仏教徒たちは、解読の段階がいくつもあることを理解していました。自動記述とは、これと同じことを言うための西洋のやり方なのです。これと同じこと、つまり人は外観を見ることだけではとうてい生きてゆけないということです。」次にヴラマンクとグレコについての記述です。「再現主義者は、対象の外観を画布に再現してゆくことに専念する。表現主義の画家は、対象のなかに、そして自分のなかにも、解き明かせぬ神秘を見出し、その表出を感じ、対象と自分との共振を画布に表してゆく。ヴラマンクの1920年代以降の風景画は表現主義の傾向を強く帯びている。今日、表現主義絵画の先駆者は、直接的にはゴッホとみなされているが、広い意味ではグリューネヴァルト(1472-1528)、エル・グレコ(1541-1614)にまで遡る。そのエル・グレコの後期の作品《トレドの風景》(1600年頃)は、人を『深い困惑』と『全面的な称賛』へ導きうる傑作である。~略~夜との出会いこそ偉大なる神との出会いであるとするスペイン・カトリックの神秘思想である。光り輝く神はあまりに偉大であるため、有限な人間の目からは夜に映るというのだ。神との直接交渉の可能性をかかげるプロテスタントに対抗して、スペインではこの種の神秘思想がカルメル会の修道士を中心に高まっていった。トレドを愛するギリシャ人、エル・グレコも、この否定神学に最後の望みを託していたのである。」