Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

TVから流れた創作への苛立ち
昨晩はテレビをちょっと見てからRECORDの彩色をやろうと考えていました。たまたまNHKを見ていたら、宮﨑駿監督のドキュメンタリーをやっていて、思わず惹きつけられて最後まで見てしまいました。NHKでやっていた番組は『宮﨑駿と青サギと…~「君たちはどう生きるか」への道』で、米国アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞したアニメ作品がどのように生まれたのかを、7年という異例の密着取材で撮り終えたドキュメンタリーでした。私が何より惹きつけられたのは、悶々とした創作現場で、幾度も頭を掻きむしり、描いては消し、消しては描く絵コンテ作りでした。納得いくまで粘る宮﨑監督の苛立ちが、自分とオーバーラップしてしまい、何とも言いようがない気持ちにさせらました。勿論、宮崎監督と私ではその表現のスケールや知名度も、月とスッポンほどの差がありますが、知名度がどうであれ、創作に向かう姿勢は同じではないかと思っています。私も陶彫制作で苛立ちを覚えます。以前、私が校長職にあった頃は、組織を動かすために判断を下す時の迷いや苛立ちがありましたが、それと個人の創作行為では質が違っていると感じています。組織があれば職員と会議をすることで、有効な判断が見えてきます。判断を間違えば職員や生徒たち、保護者たちに多大な迷惑をかけることになりますが、現在の創作行為は私一人で苦しんでいるだけで、他人に迷惑をかけることはありません。ところが映画製作となると、組織があって、しかも全てが監督一人の責任になるので、その苛立ちは半端なものではないと察しています。創作行為の苛立ちは、たとえ個人であれ、組織があっても、自分自身の内面の問題となるので、そこは大きく変わるものではないと私は思っているのですが、いかがでしょうか。そんなことを考える契機を与えてくれた昨晩のドキュメンタリー番組でした。