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個展「なんだか今日はだめみたい」雑感
昨日、東京銀座8丁目にあるギャラリーせいほうに私の個展用のDM1000枚を持参した折、銀座1丁目まで足を延ばし、友人の個展会場へ向かいました。友人とは高校時代の同級生で俳優の竹中直人さんです。NOTE(ブログ)では友人を「さん付け」して書いていますが、付き合いが長いこともあって敬称をつけずにお互い呼び合っているので、ここでも竹中と呼ばせていただきます。彼とは横浜の金沢区にある高校で学んでいました。2人とも美術系の大学志望が一緒だったので、学校帰りに東京代々木にある受験用予備校に通っていて、デッサンに精を出していました。大学卒業後に彼は俳優になり、私は教職に就きましたが、自己表現意欲を持ち続けられたことで、お互い個展が開催できる現状になったと思っています。竹中は俳優や映画監督業の他に表現領域が広く、造形美術にも自分の持ち味を示していて、ある意味では一色では語れない多面性を持っているように思います。演技では渋い役やどぎつい役をこなしていますが、肩肘張らない気軽な描写も彼自身の個性であることに違いありません。個展「なんだか今日はだめみたい」で発表していたのは人物の風貌で、色々な顔のふとした表情を細描きのペンで捉えていました。題名のところには台詞があって、そのモデルが背負っている架空のドラマを書き込んでいました。人は皆ドラマを演じているとでも言いたいのか、彼の役者としての才覚がそうさせているのか、即興画と名づけられたスケッチは、なかなか内容の深いものがありました。私は彼にラインで感想を伝えながら、竹中直人という人間が昔から変わっていないことに気づきました。彼が監督する映画は幾層にも心理描写が重なり、じっくり観なければ分からない場面があります。よく芸能人の趣味として絵画展を開く人がいますが、彼は映像もスケッチもすべて彼自身が発する心的表現であって、本業と趣味の境がありません。彼は俳優業としては自我を出さず、役に徹することに務めてきました。役を演じることに照れはなかったはずですが、さすがに個展では恥ずかしさがあるのか、竹中流の言い訳も示しています。彼の創る映画作品も個展と同じです。ただし、映画製作には組織的な取り組みがあるために個性がぼかされているに過ぎません。そんな竹中と長く付き合っている私は幸運なのだろうと思っています。